令和5年度大学入学共通テスト本試験「数学Ⅱ・数学B」を実際に解いてみたいと思います。
本記事は、試験問題に関して数学的な解説を行うものです。誤り等を見つけた場合はコメントでご指摘いただけると助かります。
実際の問題や正解を確認したい方は、大学入試センターのサイトより、以下のページをご覧ください。
※ リンク先のページの表で「数学→数学2→数学II・数学B」と進んでください。
※ 直近3年分の試験問題は、同じく大学入試センターの こちらのページ にあります。
この年の数学II・数学Bの科目選択者は316,728名で、平均点は61.48点です。(大学入試センターより)
第1問(必答:30点)
[1] 三角関数
(1)
\(\displaystyle x=\frac{\pi}{6}\) のとき \(\displaystyle 2x=\frac{\pi}{3}\) である。ここで、
\begin{align}
\sin\frac{\pi}{6}&=\frac{1}{2},&
\sin\frac{\pi}{3}&=\frac{\sqrt{3}}{2}
\end{align}なので $$\sin x\ \fbox{\(<\)}\ \sin 2x$$ である。
同様に、\(\displaystyle x=\frac{2}{3}\pi\) のとき \(\displaystyle 2x=\frac{4}{3}\pi\) である。ここで、
\begin{align}
\sin\frac{2}{3}\pi&=\frac{\sqrt{3}}{2},&
\sin\frac{4}{3}\pi&=-\frac{\sqrt{3}}{2}
\end{align}なので $$\sin x\ \fbox{\(>\)}\ \sin 2x$$ である。
(2)
まず、\(\sin2x=2\sin x\cos x\) であるので
\begin{align}
\sin2x-\sin x
&=2\sin x\cos x-\sin x\\
&=\fbox{\(\sin x(2\cos x-1)\)}
\end{align}となる。
①について、\(0\leq x\leq 2\pi\) において $$\sin x>0\ \Longleftrightarrow\ 0<x<\pi$$ であって
\begin{align}
\ 2\cos x-1>0\
&\Longleftrightarrow\ \cos x>\frac{1}{2}\\
&\Longleftrightarrow\ 0\leq x<\frac{\pi}{3},\ \frac{5}{3}\pi\leq x\leq 2\pi
\end{align}である。よって、①が成り立つような \(x\) の範囲は $$0<x<\fbox{\(\displaystyle \frac{\pi}{3}\)}$$ である。
②について、\(0\leq x\leq 2\pi\) において $$\sin x<0\ \Longleftrightarrow\ \pi<x<2\pi$$ であって
\begin{align}
\ 2\cos x-1<0\
&\Longleftrightarrow\ \cos x<\frac{1}{2}\\
&\Longleftrightarrow\ \frac{\pi}{3}<x<\frac{5}{3}
\end{align}である。よって、②が成り立つような \(x\) の範囲は $$\pi< x<\fbox{\(\displaystyle \frac{5}{3}\pi\)}$$ である。
(3)
まず、\(\alpha+\beta=4x\), \(\alpha-\beta=3x\) を \(\alpha\), \(\beta\) について解くことで $$\alpha=\fbox{\(\displaystyle\frac{7}{2}x\)}\ ,\quad\beta=\fbox{\(\displaystyle\frac{x}{2}\)}$$ である。
④について、\(0\leq x\leq \pi\) において
\begin{align}
\cos\frac{7}{2}x>0\
&\Longleftrightarrow\ 0<\frac{7}{2}x<\frac{\pi}{2},\ \frac{3}{2}\pi<\frac{7}{2}x<\frac{5}{2}\pi\\
&\Longleftrightarrow\ 0<x<\frac{\pi}{7},\ \frac{3}{7}\pi<x<\frac{5}{7}\pi
\end{align}であって
\begin{align}
\sin\frac{x}{2}>0
&\ \Longleftrightarrow\ 0\leq \frac{x}{2}\leq\frac{\pi}{2}\\
&\ \Longleftrightarrow\ 0\leq x\leq\pi
\end{align}である。
⑤について、\(0\leq x\leq \pi\) において $$\sin\frac{x}{2}<0$$ とはならないので、⑤ が成り立つことはない。
よって、求める範囲は $$0<x<\fbox{\(\displaystyle \frac{\pi}{7}\)},\ \fbox{\(\displaystyle \frac{3}{7}\pi\)}<x<\fbox{\(\displaystyle \frac{5}{7}\pi\)}$$ である。
(4)
\(\sin4x>\sin2x\) より、(2) で求めた範囲の \(x\) を \(2x\) に置き換えればよく $$0<2x<\frac{\pi}{3},\ \pi< 2x<\frac{5}{3}\pi$$ すなわち $$0<x<\frac{\pi}{6},\ \frac{\pi}{2}<x<\frac{5}{6}\pi$$ である。
\(\sin3x>\sin4x\) より、(3) で求めた範囲の不等号を逆向きにして $$\frac{\pi}{7}<x<\frac{3}{7}\pi,\ \frac{5}{7}\pi<x<\pi$$ である。
これらの共通部分をとることで $$\frac{\pi}{7}<x<\fbox{\(\displaystyle \frac{\pi}{6}\)},\ \frac{5}{7}\pi<x<\fbox{\(\displaystyle \frac{5}{6}\pi\)}$$ を得る。
[2] 指数関数・対数関数
(1)
\(\log_ab=x\) のとき、対数の定義より \(\fbox{\(a^x=b\)}\) である。
(2)
(i)
\(5^2=25\) より \(\log_525=\fbox{\(2\)}\) である。また、$$27=3^3=(3^2)^{\frac{3}{2}}=9^{\frac{3}{2}}$$ より \(\log_927=\fbox{\(\displaystyle \frac{3}{2}\)}\) である。
(ii)
正の実数 \(\log_23\) が自然数 \(p\), \(q\) を用いて $$\log_23=\frac{p}{q}$$ と書けるとする。このとき、\(2^{\frac{p}{q}}=3\) となるので、両辺を \(q\) 乗することで $$\fbox{\(2^p=3^q\)}$$ を得る。しかし、この左辺は偶数で右辺は奇数なので矛盾する。よって、実数 \(\log_23\) は無理数である。
(iii)
\(a\) と \(b\) は \(2\) 以上の自然数なので \(\log_ab\) は \(0\) 以下にはなり得ない。正の実数 \(\log_ab\) が自然数 \(p\), \(q\) を用いて $$\log_ab=\frac{p}{q}$$ と書けるとする。このとき、\(a^{\frac{p}{q}}=b\) となるので、両辺を \(q\) 乗することで $$a^p=b^q$$ を得る。この関係と相反するのは \(\fbox{⑤}\) の \(a\) と \(b\) の偶奇が異なる場合である。
第2問(必答:30点)
[1] 微分法
(1)
まず、方程式 \(f(x)=0\) を解くと \(x=0,k\) であるので、\(y=f(x)\) と \(x\) 軸の原点以外の共有点は \(\fbox{\((k, 0)\)}\) のみである。
また、\(f(x)=-x^3+kx^2\) より
\begin{align}
f^\prime(x)
&=\fbox{\(-3x^2+2kx\)}\\
&=-x(3x-2k)
\end{align}であるので、\(f(x)\) は
- \(x=\fbox{\(0\)}\) のとき、極小値 \(f(0)=\fbox{\(0\)}\) をとる。
- \(x=\fbox{\(\displaystyle \frac{2}{3}k\)}\) のとき、極小値 $$f\left(\frac{2}{3}k\right)=\left(\frac{2}{3}k\right)^2\times\frac{k}{3}=\fbox{\(\displaystyle \frac{4}{27}k^3\)}$$ をとる。
ここで、\(0<x<k\) において、\(\displaystyle x=\frac{2}{3}k\) のときの値 \(\displaystyle \frac{4}{27}k^3\) が最大値である。
(2)
円柱の高さは \(\displaystyle 15-\frac{5}{3}x\) であるので、\(0<x<9\) において
\begin{align}
V
&=\pi x^2\times\left(15-\frac{5}{3}x\right)\\
&=\fbox{\(\displaystyle \frac{5}{3}\pi x^2\left(9-x\right)\)}
\end{align}と書ける。
よって、(1) において \(k=9\) とすれば $$V=\frac{5}{3}\pi f(x)$$ と書ける。これより、\(V\) は \(x=6\) のとき最大値 $$\frac{5}{3}\pi\times\frac{4}{27}\times9^3=\fbox{\(180\pi\)}$$ をとることがわかる。
[2] 積分法
(1)
まず、
\begin{align}
\int_0^{30}\left(\frac{1}{5}x+3\right)dx
&=\left[\frac{1}{10}x^2+3x\right]_0^{30}\\
&=\frac{30^2}{10}+3\times30\\
&=90+90\\
&=\fbox{\(180\)}
\end{align}である。また、\(C\) を積分定数とすると
\begin{align}
&\int\left(\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}x+5\right)dx\\
&\qquad=\fbox{\(\displaystyle \frac{1}{300}x^3-\frac{1}{12}x^2+5x+C\ \)}
\end{align}である。
(2)
(i)
まず、
\begin{align}
S(t)
&=\int_0^t\left(\frac{1}{5}x+3\right)dx\\
&=\frac{1}{10}t^2+3t
\end{align}である。方程式 \(S(t)=400\) を \(t>0\) の範囲で解くと
\begin{gather}
\frac{1}{10}t^2+3t=400\\
t^2+30t-4000=0\\
(t-50)(t+80)=0\\
t=50
\end{gather}よって、開花は \(\fbox{\(50\,日後\)}\) である。
(ii)
まず、
\begin{align}
\int_0^{40}f(x)dx
&=\int_0^{30}f(x)dx+\int_{30}^{40}f(x)dx\\
&=180+115\\
&=295\\
&<400
\end{align}より、\(40\) 日後にはまだ開花していない。一方、$$\int_{30}^{40}f(x)dx\ \fbox{<}\ \int_{40}^{50}f(x)dx$$ であることから
\begin{align}
\int_0^{50}f(x)dx
&=\int_0^{40}f(x)dx+\int_{40}^{50}f(x)dx\\
&>295+115\\
&>400
\end{align}より、\(50\) 日後には既に開花している。
よって、\(\fbox{④}\) である。
第3問(選択:20点)確率分布と統計的な推測
(1)
(i)
確率変数 \(X\) は正規分布 \(N(m, \sigma^2)\) に従い、正規分布は一般に平均に関して左右対称な分布である。よって、
\begin{align}
P(X\geq m)
=P\left(\frac{X-m}{\sigma}\geq \fbox{\(0\)}\right)
=\fbox{\(\displaystyle \frac{1}{2}\)}
\end{align}である。
(ii)
大きさ \(n\) の標本の標本平均 $$\overline{X}=\frac{X_1+X_2+\cdots+X_n}{n}$$ を考えると、期待値は
\begin{align}
E(\overline{X})
&=E\left(\frac{X_1+X_2+\cdots+X_n}{n}\right)\\
&=\frac{E(X_1)+E(X_2)+\cdots+E(X_n)}{n}\\
&=\frac{m+m+\cdots+m}{n}\\
&=\frac{mn}{n}\\
&=\fbox{\(m\)}
\end{align}である。また、各標本は無作為に抽出されているので(独立なので)、分散は
\begin{align}
\sigma^2(\overline{X})
&=\sigma^2\left(\frac{X_1+X_2+\cdots+X_n}{n}\right)\\
&=\frac{\sigma^2(X_1)+\sigma^2(X_2)+\cdots+\sigma^2(X_n)}{n^2}\\
&=\frac{\sigma^2+\sigma^2+\cdots+\sigma^2}{n^2}\\
&=\frac{n\sigma^2}{n^2}\\
&=\frac{\sigma^2}{n}
\end{align}であるので、標準偏差は $$\sigma(\overline{X})=\fbox{\(\displaystyle \frac{\sigma}{\sqrt{n}}\)}$$となる。
ここで、\(0.901\div2=0.4505\) であるので、正規分布表より $$P(-z_0\leq Z\leq z_0)=0.901$$ すなわち $$P(0\leq Z\leq z_0)=0.4505$$ となるのは $$z_0=\fbox{\(1.65\)}$$ のときである。
母平均が \(m\ {\rm g}\) で、標本平均が \(30.0\ {\rm g}\) である。\(n=400\) が十分に大きいので、母標準偏差 \(\sigma\ {\rm g}\) の代わりに標本の標準偏差 \(3.6\ {\rm g}\) を用いて良い。よって、$$Z=\frac{m-30}{3.6/\sqrt{400}}=\frac{m-30}{0.18}$$ とすると \(m=30+0.18Z\) なので
\begin{gather}
-z_0\leq Z\leq z_0\\
30-0.18z_0\leq m \leq 30+0.18z_0
\end{gather}となる。今、\(0.18z_0=0.18\times1.65=0.297\) であるので $$\fbox{\(29.703 \leq m \leq 30.297\)}$$ となる。
(2)
(i)
(1)の(i)と同様に、確率変数 \(X\) は正規分布 \(N(30, 3.6^2)\) に従い、平均 \(30\ {\rm g}\) に関して左右対称な分布であるので、無作為に \(1\) 個だけ抽出して \({\rm S}\)サイズである確率は \(\fbox{\(\displaystyle \frac{1}{2}\)}\) である。
このとき、二項分布 \(\displaystyle B\left(50, \frac{1}{2}\right)\) に従う確率変数 \(U_0\) が \(25\) となる確率 \(p_0\) を考えると
\begin{align}
p_0
&={}_{50}{\rm C}_{\fbox{\(25\)}}\times\left(\frac{1}{2}\right)^{\fbox{\(25\)}}\times\left(1-\frac{1}{2}\right)^{50-\fbox{\(25\)}}\\
&={}_{50}{\rm C}_{25}\times\left(\frac{1}{2}\right)^{50}\\
&=0.112275\cdots
\end{align}である。
(ii)
二項分布 \(\displaystyle B\left(50+k, \frac{1}{2}\right)\) に従う確率変数 \(U_k\) について
\begin{align}
E(U_k)
&=(50+k)\times\frac{1}{2}\\
&=\frac{50+k}{2}
\end{align}かつ
\begin{align}
\sigma^2(U_k)
&=(50+k)\times\frac{1}{2}\times\left(1-\frac{1}{2}\right)\\
&=\frac{50+k}{4}
\end{align}である。よって、\((50+k)\) が十分に大きければ \(U_k\) は近似的に正規分布 $$N\left(\fbox{\(\displaystyle \frac{50+k}{2}\)}\ ,\ \fbox{\(\displaystyle \frac{50+k}{4}\)}\right)$$ に従う。よって、
\begin{align}
Y
&=\frac{U_k-\frac{50+k}{2}}{\sqrt{\frac{50+k}{4}}}\\
&=\frac{2U_k-(50+k)}{\sqrt{50+k}}
\end{align}とおくと、近似的に標準正規分布 \(N(0,1)\) に従う。
このとき、\(U_k\) が \(25\) 以上 \((25+k)\) 以下となる確率 \(p_k\) を考えると
\begin{align}
p_k
&=P(25\leq U_k \leq 25+k)\\
&=P\left(-\frac{\fbox{\(k\)}}{\sqrt{50+k}}\leq Y \leq \frac{\fbox{\(k\)}}{\sqrt{50+k}}\right)
\end{align}である。但し、
\begin{align}
Y&=\frac{2U_k-(50+k)}{\sqrt{50+k}}\\
&=\begin{cases}
\displaystyle -\frac{k}{\sqrt{50+k}}&(U_k=25)\\[5pt]
\displaystyle \frac{k}{\sqrt{50+k}}&(U_k=25+k)
\end{cases}
\end{align}である。
今、\(\alpha\geq2\beta\) より \(\alpha^2\geq 4\beta^2\) を変形すると
\begin{align}
k^2&\geq 4(50+k)\\
k^2-4k&\geq 200\\
(k-2)^2&\geq 204
\end{align}となる。よって、最小の \(k=k_0\) は \(k_0-2=15\) より $$k_0=\fbox{\(17\)}$$ となる。これより、\(67\) 個のピーマンを抽出しておけば \(0.95\) 以上の確率で \(25\) 袋を作ることができる。
第4問(選択:20点)数列
(1)
\(a_1=10+p\), \(a_2=1.01(10+p)+p\) であって $$a_3=\fbox{\(1.01\{1.01(10+p)+p\}+p\)}$$ である。また、一般に $$a_{n+1}=\fbox{\(1.01\)}\ a_n+\fbox{\(p\)}$$ が成り立つので、両辺に \(100p\) を加えることで $$a_{n+1}+\fbox{\(100p\)}=\fbox{\(1.01\)}\ (a_n+100p)$$ が成り立つ。よって、$$a_n+100p=1.01^{n-1}(10+p)$$ すなわち $$a_n=1.01^{n-1}(10+101p)-100p$$ である。
一方、
- \(1\) 年目の初めに入金した \(p\) 万円は、もともと預金口座にあった \(10\) 万円と同じ増え方をするので \(p\times1.01^{\fbox{\(n-1\)}}\) 万円になる。
- \(2\) 年目の初めに入金した \(p\) 万円は、\(1\) 年目の初めに入金したものより預けている期間が \(1\) 年短いので \(p\times1.01^{\fbox{\(n-2\)}}\) 万円になる。
などとなる。よって、$$a_n=10\times1.01^{n-1}+p\sum_{k=1}^n1.01^{\fbox{\(k-1\)}}$$ であるので
\begin{align}
\sum_{k=1}^n1.01^{k-1}
&=\frac{1.01^n-1}{1.01-1}\\
&=\fbox{\(100(1.01^n-1)\)}
\end{align}より $$a_n=10\times1.01^{n-1}+100p(1.01^n-1)$$ を得る。
(2)
\(10\) 年目の初めに入金した後の預金が \(a_{10}\) 万円であるので、\(10\) 年目の終わりには \(1.01\) 倍された額が預金口座にあることになる。よって、考える不等式は $$\fbox{\(1.01a_{10}\)}\geq30$$ である。
ここで、\(p\) について解くことを考えて \(a_n\) の表示として $$a_n=10\times1.01^{n-1}+100p(1.01^n-1)$$ を採用すると \(1.01a_{10}\geq 30\) より $$10\times1.01^{10}+101p(1.01^{10}-1)\geq 30$$ である。よって
\begin{align}
p&\geq \frac{\fbox{\(30\)}-\fbox{\(10\)}\times1.01^{10}}{101(1.01^{10}-1)}=1.7937\cdots
\end{align}であるので、毎年 \(18,000\) 円だけ入金すれば良い。
(3)
もともと預金口座にあった \(10\) 万円は \(n\) 年目の初めに \(10\times1.01^{n-1}\) 万円になっていた。もとの預金が \(13\) 万円だった場合、\(n\) 年目の初めの預金は \(a_n\) 万円よりも \(\fbox{\(3\times1.01^{n-1}\)}\) 万円だけ多くなる。
第5問(選択:20点)ベクトル
(1)
まず、
\begin{align}
\overrightarrow{\rm AM}
&=\frac{\overrightarrow{\rm AB}+\overrightarrow{\rm AC}}{2}\\
&=\fbox{\(\displaystyle \frac{1}{2}\)}\ \overrightarrow{\rm AB}+\fbox{\(\displaystyle \frac{1}{2}\)}\ \overrightarrow{\rm AC}
\end{align}である。
また、内積の定義から $$\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AB}|}=\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AC}|}=\fbox{\(\cos\theta\)}$$ である。
(2)
仮定より、\(\displaystyle \cos\theta=\frac{1}{\sqrt{2}}\) かつ $$|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AB}|=|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AC}|=9\sqrt{2}$$ であるので、①より
\begin{align}
\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}
&=\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}\\
&=\frac{1}{\sqrt{2}}\times9\sqrt{2}\\
&=\fbox{\(9\)}
\end{align}である。
ここで、\(\overrightarrow{\rm AD}=m\overrightarrow{\rm AM}\) なる実数 \(m\) を考える。\(\angle{\rm APD}=90^\circ\) なので $$\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm PD}=0$$ である。これより
\begin{gather}
\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm PD}=0\\
\overrightarrow{\rm AP}\cdot(\overrightarrow{\rm AD}-\overrightarrow{\rm AP})=0\\
\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AD}=|\overrightarrow{\rm AP}|^2\\
\overrightarrow{\rm AP}\cdot m\overrightarrow{\rm AM}=|\overrightarrow{\rm AP}|^2\\
\frac{m}{2}\left(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}+\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}\right)=|\overrightarrow{\rm AP}|^2\\
\frac{m}{2}\left(9+9\right)=3^2\times2\\
m=2
\end{gather}すなわち \(\overrightarrow{\rm AD}=\fbox{\(2\)}\ \overrightarrow{\rm AM}\) が成り立つ。
(3)
(i)
まず、
\begin{align}
\overrightarrow{\rm PQ}
&=\overrightarrow{\rm AQ}-\overrightarrow{\rm AP}\\
&=\overrightarrow{\rm AB}+\overrightarrow{\rm AC}-\overrightarrow{\rm AP}
\end{align}であって、これと \(\overrightarrow{\rm AP}\) の内積が \(0\) になるので $$\fbox{\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}+\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}=\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AP}\)}$$ が成り立つ。ここで、\(\overrightarrow{\rm AB}\), \(\overrightarrow{\rm AC}\), \(\overrightarrow{\rm AP}\) はいずれも \(\overrightarrow{0}\) ではない。よって、両辺を \(|\overrightarrow{\rm AP}|\) で割ることができて
$$|\overrightarrow{\rm AB}|\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AB}|}+|\overrightarrow{\rm AC}|\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AC}|}=\frac{|\overrightarrow{\rm AP}|^2}{|\overrightarrow{\rm AP}|}$$
すなわち $$\fbox{\(|\overrightarrow{\rm AB}|\cos\theta+|\overrightarrow{\rm AC}|\cos\theta=|\overrightarrow{\rm AP}|\)}$$ を得る。
(ii)
\(k\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}=\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}\) なる正の実数 \(k\) が存在するので、両辺を \(|\overrightarrow{\rm AP}|\) で割ることで $$k|\overrightarrow{\rm AB}|\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AB}|}=|\overrightarrow{\rm AC}|\frac{\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC}}{|\overrightarrow{\rm AP}||\overrightarrow{\rm AC}|}$$ が成り立つ。ここで、\(0^\circ<\theta<90^\circ\) より \(\cos\theta\neq0\) であるので、①の各辺は \(0\) でなく $$\fbox{\(k|\overrightarrow{\rm AB}|=|\overrightarrow{\rm AC}|\)}$$ を得る。ここで、
\begin{align}
|\overrightarrow{\rm AB^\prime}|&=|\overrightarrow{\rm AB}|\cos\theta\\
|\overrightarrow{\rm AC^\prime}|&=|\overrightarrow{\rm AC}|\cos\theta
\end{align}であるので \(k|\overrightarrow{\rm AB}|=|\overrightarrow{\rm AC}|\) より $$k|\overrightarrow{\rm AB^\prime}|=|\overrightarrow{\rm AC^\prime}|$$ が成り立つ。
ここで、\(\overrightarrow{\rm PA}\) と \(\overrightarrow{\rm PQ}\) が垂直なら、(i)より $$|\overrightarrow{\rm AB}|\cos\theta+|\overrightarrow{\rm AC}|\cos\theta=|\overrightarrow{\rm AP}|$$ なので $$|\overrightarrow{\rm AB^\prime}|+|\overrightarrow{\rm AC^\prime}|=|\overrightarrow{\rm AP}|$$ が成り立ち、④を得る。逆に、④であれば $$|\overrightarrow{\rm AB}|\cos\theta+|\overrightarrow{\rm AC}|\cos\theta=|\overrightarrow{\rm AP}|$$ が成り立つ。よって、\(\fbox{④}\) である。
特に \(k=1\) であるとき、\(\overrightarrow{\rm PA}\) と \(\overrightarrow{\rm PQ}\) が垂直であることは \(2\) 点 \({\rm B}^\prime\), \({\rm C}^\prime\) が共に線分 \({\rm AP}\) の中点に一致することと同値である。
\(2\) 点 \({\rm B}^\prime\), \({\rm C}^\prime\) が共に線分 \({\rm AP}\) の中点に一致するとき、②を得る。逆に、②であれば \(|\overrightarrow{\rm AB}|=|\overrightarrow{\rm AC}|\) であるので、$$|\overrightarrow{\rm AB}|\cos\theta+|\overrightarrow{\rm AC}|\cos\theta=|\overrightarrow{\rm AP}|$$ より \(2\) 点 \({\rm B}^\prime\), \({\rm C}^\prime\) が共に線分 \({\rm AP}\) の中点に一致する。よって、\(\fbox{②}\) である。
※ (i) では内積の定義を適用してから割った方が楽なようです。
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