みなさん、こんにちは。
数学愛好家の AkiyaMath です。
学校や塾に “通う” みなさんは、先生から説明された事柄や問題で疑問が生じたときに「質問をすること」があるかと思います。
学校や塾に “勤める” みなさんは、生徒から質問された疑問に対して「説明をすること」があると思います。
そういったやりとりが授業の質を左右する大きな要因の一つであると言って良いでしょう。本記事では、授業をはじめ、先生と生徒が共有している学習に費やす時間の質を向上するために意識するべきだと思ったことを書き残しておこうと思います。
- 中学生や高校生で、先生の教え方が上手ではない(下手)と感じている方
- 高校を卒業して大学生になり、塾講師のバイトを始めて教え方に悩んでいる方
など、少しでも参考になれば嬉しいです。
【生徒】のみなさんに…
「質問をするとき」に意識する
意識するべきだと感じたポイントは唯一つです。
質問したいことに関連する “わかること” を伝える。
“わからないという意思表示” はできる方が多いです。そこで、
何がわからないか上手く言えないから質問できないな…。
となってしまうのは非常に勿体無いのです。それは、先生と一緒に行う作業ですので、上手く言えなくとも安心して下さい。先生は、みなさんが「自分の理解の状況」を少しでも説明してくれれば
- 何の理解が甘いのか
- 何が原因でつまずいているのか
などを推測することができます。また、その「わかっていること」が、先生が説明する際の手がかり、足がかりになるのです。
質問する際に意識するべきは、自分で問題を如何に解決するかよりも
先生が力を最大限に発揮できるような情報を与えること
であると思います。
「説明を聞くとき」に意識する
こちらも、意識するべきだと感じたポイントは唯一つです。
「先生の説明ってこういう意味でOK?」と確認する。
説明の最中に先生が「ここまで大丈夫?」と聞いてきたとき、イエス・ノーで答えてしまいがちですが、それは避けた方が良いでしょう。大丈夫かどうかは先生が判断することです。可能であれば、正しく理解できているか不安な部分を先生の表現と少し変えながら反復して
それは 〇〇〇〇〇 ということですよね?
と確認して、大丈夫か否かを “先生に” 判断してもらいましょう。万が一、個別指導の塾で経験の浅い講師の指導を受けている場合など、先生が一方的に説明しっぱなしならば、タイミングを見て説明を中断させてでも確認をするべきです。
いずれにせよ、ご自身の理解が正しいかどうかを学習段階にあるみなさんが正確に判断することは困難ですので、ちゃんと
先生に自分の理解に関する判断を仰ぐ
必要があると思います。
【先生】のみなさんに…
「説明をするとき」に意識する
意識するべき点は、生徒が説明を聞くときに意識するべきことの裏返しになります。
受け手である生徒に「自分の考えを発言させる」必要がある。
説明する側として、受け手の理解を確認しながら話を進めることは必須であると思います。そこで便利な言葉が
ここまで大丈夫?
でしょう。理解するべきは、みなさんが “わかっていない人” に対して説明しているのという状況です。見下すという意味ではなく、むしろ真逆で、誤った向きに突っ走らないように最大限の配慮が必要であるということです。生徒の言葉は信じつつも、正しく疑う必要があると思います。
その「大丈夫か否か」を “わかっていない人” に判断させることは非常に危険です。必ず、“わかっている人” であるみなさんがチェックを行うべきです。具体的には
「ここまで大丈夫?」の後、各々の能力に応じて問答をすることで、
生徒がイエス・ノー以外の言葉で自分の考えを発言する場を設ける。
ことが効果的でしょう。生徒としても、自分の言葉で説明した事柄は、記憶に定着しやすいのではないでしょうか。
「質問を聞くとき」に意識する
意識するべき点は、生徒が質問をするときに意識するべきことの裏返しになります。
質問者である生徒から「問題の解決に必要な情報を引き出す」必要がある。
質問される側として「この問題を教えてください!」と言われると、自然に
どこがわからないの?
と聞くことになるでしょう。しかし、それに的確に答えられる生徒は多くないと思います。なぜならば、当たり前ですが、わからなくて質問しているからです。勿論、みなさんのようにその分野の全体像を俯瞰的に見れていることはまずないです。10あるうち、1わからないのか、3わからないのか、7わからないのか、それすらもわかっていないと思った方が良いです。
そんな状況で、我々が生徒にして欲しいことはふたつあります。
- わからないという意思表示をする。
- わかっている箇所の明確化をする。
ここで注意するべきは “わからない箇所を生徒自身に明確化させる必要性はない” ということです。生徒には「どの問題がわからないのか」「教科書の何ページがわからないのか」くらいの範囲を示してもらい、あとはその範囲でわかることの説明を生徒自身にしてもらいましょう。その内容は勿論、その言葉遣いから伝わる自信の有無などからも、
- 理解の不十分な点
- 問題の原因となっている誤った解釈
が炙り出されることでしょう。
みなさんが説明する際の道具になるのは “わかっていること” であって、それを生徒から引き出すことは必要不可欠です。生徒から自発的に話してくれるのを待つのではなく、意識的に聞き取るべきだと思います。具体的には
- 生徒自身が問題点を明確化する必要はなく、とにかく “わからないと言える環境” を作る。
- 所々でサポートしながらでも、生徒自身の言葉で “わかっていること” を説明してもらう。
ことが効果的でしょう。生徒としても、“説明しようにもできない” という経験を積むことで、自分がわからないことの輪郭を把握する力が養われるのではないかなと思います。
最後に。
いかがでしたでしょうか。今回は、学校や塾における質問と説明のあり方について述べてきました。
実は、学校とも塾とも、私が慣れ親しんだ数学とも関係ないアルバイトの経験が、この記事を書くきっかけを与えてくれました。勝手のわかる数学が携わることのない環境、右も左も分からない環境で人の説明を聞き、質問をするという経験をすることで、忘れかけていた
“完全に未知のモノを教わる側の気持ち”
を思い出しました。その気持ちを再び忘却することがないよう、感じたこと、考えたことを記録に残しております。生徒のみなさんにとっては勿論ですが、先生方にとっても、学校や塾という場に限らず、将来の学びを濃密にすることの助けになれば幸いです。
※この記事は、私自身が note で2022年2月5日に公開した記事を本サイトで投稿し直したものです。
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