【数学II】係数比較で二項係数の和を計算 5種類!「次数を上手く分割する。」

数学IIB

数学IIで習う 二項係数 \({}_{n}{\rm C}_{k}\) の和を求めます。今回は、指数法則を用いて

\begin{align}
(1+x)^{l+m}=(1+x)^l(1+x)^m
\end{align}

などとして、各辺の特定の次数の係数を比較してみます。これにより、以下の「係数比較の方法」を扱ってゆきたいと思います。

他の公式は以下の リンク を参照してください。

広告

係数比較を用いた和の計算

exams_g4ow

\(({}_{l}{\rm C}_{k})({}_{m}{\rm C}_{n-k})\)

式 5.1

$$\sum_{k=0}^n \left({}_{l}{\rm C}_{k}\right)\left({}_{m}{\rm C}_{n-k}\right)={}_{l+m}{\rm C}_{n}$$

証明の一例
\(x\) の多項式に関して、指数法則より
\begin{align}
(1+x)^l(1+x)^m=(1+x)^{l+m}
\end{align}が成り立つ。\(l\) 及び \(m\) 以下の非負整数 \(n\) に対して、両辺の \(x^n\) の係数を比較することで
\begin{align}
\sum_{k=0}^n \left({}_{l}{\rm C}_{k}\right)\left({}_{m}{\rm C}_{n-k}\right)={}_{l+m}{\rm C}_{n}
\end{align}を得る。

これを「ヴァンデルモンドの畳み込み」という。

\(\left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2\)

式 5.2

$$\sum_{k=0}^n \left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2={}_{2n}{\rm C}_{n}$$

証明の一例
\(x\) の多項式に関して、指数法則より
\begin{align}
(1+x)^n(1+x)^n=(1+x)^{2n}
\end{align}が成り立つ。両辺の \(x^n\) の係数を比較することで
\begin{align}
\sum_{k=0}^n \left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)\left({}_{n}{\rm C}_{n-k}\right)={}_{2n}{\rm C}_{n}
\end{align}すなわち、\({}_{n}{\rm C}_{n-k}={}_{n}{\rm C}_{k}\) より
\begin{align}
\sum_{k=0}^n \left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2={}_{2n}{\rm C}_{n}
\end{align}を得る。

\(k\left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2\)

式 5.3

$$\sum_{k=0}^n k\left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2=\frac{n}{2}{}_{2n}{\rm C}_{n}$$

証明の一例
\(x\) の多項式に関して、指数法則、及び、二項定理より
\begin{align}
(1+x)^{2n}
&=(1+x)^n(1+x)^n\\
&=\left(\sum_{k=0}^n{}_{n}{\rm C}_{k}x^k\right)\left(\sum_{k=0}^n{}_{n}{\rm C}_{k}x^k\right)
\end{align}が成り立つ。両辺を \(x\) で微分すると
\begin{align}
2n(1+x)^{2n-1}
=2\left(\sum_{k=0}^n{}_{n}{\rm C}_{k}x^k\right)\left(\sum_{k=0}^nk{}_{n}{\rm C}_{k}x^{k-1}\right)
\end{align}となる。\(n\geq1\) に対して、両辺の \(x^{n-1}\) の係数を比較することで
\begin{align}
2n{}_{2n-1}{\rm C}_{n-1}=2\sum_{k=0}^n \left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)\left(k{}_{n}{\rm C}_{n-k}\right)
\end{align}すなわち、\({}_{n}{\rm C}_{n-k}={}_{n}{\rm C}_{k}\) より
\begin{align}
\sum_{k=0}^n k\left({}_{n}{\rm C}_{k}\right)^2
&=n{}_{2n-1}{\rm C}_{n-1}\\
&=\frac{n}{2}{}_{2n}{\rm C}_{n}
\end{align}を得る。これは \(n=0\) のときも成り立つ。

広告

\({}_{m+k}{\rm C}_{m}\)

式 5.4

$$\sum_{k=0}^{n} {}_{m+k}{\rm C}_{k}={}_{m+n+1}{\rm C}_{n}$$

証明の一例
\(x\) の多項式に関して
\begin{align}
1+(1+x)+\cdots+(1+x)^{m+n}
&=\frac{(1+x)^{m+n+1}-1}{(1+x)-1}\\
&=\frac{(1+x)^{m+n+1}-1}{x}
\end{align}が成り立つ。このとき、左辺の \(x^m\) の係数は
\begin{align}
{}_{m}{\rm C}_{m}+{}_{m+1}{\rm C}_{m}+\cdots+{}_{m+n}{\rm C}_{m}
&=\sum_{k=0}^{n} {}_{m+k}{\rm C}_{m}
\end{align}となり、右辺の分子の \(x^{m+1}\) の係数は
\begin{align}
{}_{m+n+1}{\rm C}_{m+1}
&={}_{m+n+1}{\rm C}_{n}
\end{align}となる。よって、
\begin{align}
\sum_{k=0}^{n} {}_{m+k}{\rm C}_{m}
&={}_{m+n+1}{\rm C}_{n}
\end{align}を得る。

\({}_{n+k}{\rm C}_{n}\)

式 5.5

$$\sum_{k=0}^{n} {}_{n+k}{\rm C}_{k}={}_{2n+1}{\rm C}_{n}$$

証明の一例
\(x\) の多項式に関して
\begin{align}
1+(1+x)+\cdots+(1+x)^{2n}
&=\frac{(1+x)^{2n+1}-1}{(1+x)-1}\\
&=\frac{(1+x)^{2n+1}-1}{x}
\end{align}が成り立つ。このとき、左辺の \(x^n\) の係数は
\begin{align}
{}_{n}{\rm C}_{n}+{}_{n+1}{\rm C}_{n}+\cdots+{}_{2n}{\rm C}_{n}
&=\sum_{k=0}^{n} {}_{n+k}{\rm C}_{n}
\end{align}となり、右辺の分子の \(x^{n+1}\) の係数は
\begin{align}
{}_{2n+1}{\rm C}_{n+1}
&={}_{2n+1}{\rm C}_{n}
\end{align}となる。よって、
\begin{align}
\sum_{k=0}^{n} {}_{n+k}{\rm C}_{n}
&={}_{2n+1}{\rm C}_{n}
\end{align}を得る。

AkiyaMath

 
▶︎数学愛好家
▶︎修士(数理学)
▶︎中高教諭専修免許状(数学)
▶︎実用数学技能検定1級
▶︎統計検定2級
 
自分自身の力を存分に発揮し、着実に前へ進もう。
一度きりの自分自身の人生を、ありのままに楽しもう。
各々が抱える「好き」を尊重し合える関係を大切に…。
 
Color your life your own colors.

AkiyaMathをフォロー
みなさんの参考になれば幸いです!
AkiyaMathをフォロー
広告
広告

コメント

広告
高校数学 / 数学IIB / 【数学II】係数比較で二項係数の和を計算 5種類!「次数を上手く分割する。」
タイトルとURLをコピーしました