【京都大学-理系】第2問「線型結合の係数で存在範囲の制限を。」解答・解説[過去問 2023年度]

大学入試数学IIB
京都大学 第2問(2023年度 前期理系)

空間内の \(4\) 点 \({\rm O}, {\rm A}, {\rm B}, {\rm C}\) は同一平面上にないとする。

点 \({\rm D}, {\rm P}, {\rm Q}\) を次のように定める。点 \({\rm D}\) は $$\overrightarrow{\rm OD}=\overrightarrow{\rm OA}+2\overrightarrow{\rm OB}+3\overrightarrow{\rm OC}$$ を満たし、点 \({\rm P}\) は線分 \({\rm OA}\) を \(1:2\) に内分し、点 \({\rm Q}\) は線分 \({\rm OB}\) の中点である。さらに、直線 \({\rm OD}\) 上の点 \({\rm R}\) を、直線 \({\rm QR}\) と直線 \({\rm PC}\) が交点を持つように定める。

このとき、線分 \({\rm OR}\) の長さと線分 \({\rm RD}\) の長さの比 \({\rm OR}:{\rm RD}\) を求めよ。

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【解答例】

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点 \({\rm R}\) は直線 \({\rm OD}\) 上にあるので、実数 \(k\) を用いて $$\overrightarrow{\rm OR}=k\overrightarrow{\rm OD}$$ と書くことができる。また、\(\displaystyle \overrightarrow{\rm OP}=\frac{1}{3}\overrightarrow{\rm OA}\) かつ \(\displaystyle \overrightarrow{\rm OQ}=\frac{1}{2}\overrightarrow{\rm OB}\) である。

直線 \({\rm QR}\) と直線 \({\rm PC}\) の交点を \({\rm X}\) とおく。

点 \({\rm X}\) は直線 \({\rm QR}\) 上にあるので、実数 \(t\) を用いて

\begin{align}
\overrightarrow{\rm OX}
&=t\overrightarrow{\rm OR}+(1-t)\overrightarrow{\rm OQ}\\
&=kt(\overrightarrow{\rm OA}+2\overrightarrow{\rm OB}+3\overrightarrow{\rm OC})+\frac{1-t}{2}\overrightarrow{\rm OB}\\
&=kt\overrightarrow{\rm OA}+\left(2kt+\frac{1-t}{2}\right)\overrightarrow{\rm OB}+3kt\overrightarrow{\rm OC}\\
&=3kt\overrightarrow{\rm OP}+\left(2kt+\frac{1-t}{2}\right)\overrightarrow{\rm OB}+3kt\overrightarrow{\rm OC}
\end{align}

と書ける。

点 \({\rm X}\) は直線 \({\rm PC}\) 上にもあるので、\(4\) 点 \({\rm O}\),\({\rm P}\),\({\rm B}\),\({\rm C}\) は同一平面上にないことから

  1. \(\overrightarrow{\rm OB}\) の係数 \(\displaystyle 2kt+\frac{1-t}{2}\) は \(0\) である。
  2. \(\overrightarrow{\rm OP}\) と \(\overrightarrow{\rm OC}\) の係数の和 \(\displaystyle 3kt+3kt\) は \(1\) である。

さて、2. より \(\displaystyle kt=\frac{1}{6}\) なので 1. より \(\displaystyle t=\frac{5}{3}\) となる。これより、$$k=\frac{1}{6}\times\frac{3}{5}=\frac{1}{10}$$ であるので、
\begin{align}
{\rm OR}\ \colon{\rm RD}
&=k\ \colon (1-k)\\
&=1\ \colon 9
\end{align}を得る。

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考察と感想

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\({\rm OR}\ \colon{\rm RD}\) を知りたいので、そこで使える文字を設定できると良いと考え、まず $$\overrightarrow{\rm OR}=k\overrightarrow{\rm OD}$$ とおきました。このとき、直線 \({\rm QR}\) 上の点 \({\rm X}\) に対して、その直線上であることを用いて、もう一つパラメータ \(t\) を用意することで \(\overrightarrow{\rm OX}\) を表すことができます。条件 \(s+t=1\) を課したふたつの文字 \(s\) と \(t\) で表すこともできると思いますが、この先に連立方程式を解く未来が見えているので、いつもより文字は少ない方が良いという気持ちは強いです。

実際に、点 \({\rm X}\) が直線 \({\rm PC}\) 上にあるとき成り立つ 線型結合 における係数の条件から \(k\) を求めてゆきます。求めたいのは \(k\) です。しかし、無理やり \(t\) を消去しに行って…とやるより、式を見たときのカタマリ \(kt\) などを尊重し、シンプルな計算で進められた方がミスのリスクはないかなと思います。

AkiyaMath

 
▶︎数学愛好家
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