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【解答例】
(1)
\(Y\) が \(5\) で割り切れるとは、\(X_1, X_2, \ldots, X_n\) の少なくとも一つが \(5\) であることを意味する。
その余事象は「\(X_1, X_2, \ldots, X_n\) が全て \(5\) ではない」となり、その確率は \(\displaystyle \left(\frac{5}{6}\right)^n\) である。
よって、求める確率は
\begin{align}
1-\left(\frac{5}{6}\right)^n
\end{align}である。
(2)
\(Y\) が \(15\) で割り切れるとは、\(X_1, X_2, \ldots, X_n\) の少なくとも一つが \(3\) か \(6\) であり、かつ、少なくとも一つが \(5\) であことを意味する。
その余事象 \(C\) は「\(X_1, X_2, \ldots, X_n\) が全て \(3\) でも \(6\) でもない、または、全て \(5\) ではない」となる。
ここで、
- \(X_1, X_2, \ldots, X_n\) が全て \(3\) でも \(6\) でもないという事象を \(A\)
- \(X_1, X_2, \ldots, X_n\) が全て \(5\) ではないという事象を \(B\)
とすると
\begin{align}
P(A)&=\left(\frac{4}{6}\right)^n,&
P(B)&=\left(\frac{5}{6}\right)^n
\end{align}また、\(A\cap B\) は \(X_1, X_2, \ldots, X_n\) が全て \(3\) でも \(5\) でも \(6\) でもないという事象を表すので $$P(A\cap B)=\left(\frac{3}{6}\right)^n$$ である。
よって、求める確率は
\begin{align}
1-P(C)
&=1-P(A\cup B)\\
&=1-\left(P(A)+P(B)-P(A\cap B)\right)\\
&=1-\left\{\left(\frac{4}{6}\right)^n+\left(\frac{5}{6}\right)^n-\left(\frac{3}{6}\right)^n\right\}\\
&=1-\frac{4^n+5^n-3^n}{6^n}
\end{align}
である。
考察と感想
一般に、確率を求めたい事象 \(A\) に対して、常に $$P(A)+P(\overline{A})=1$$ が成り立ちます。ここで、\(\overline{A}\) は \(A\) の余事象です。
今、\(x=P(A)\),\(y=P(\overline{A})\) とおくと、常に $$x+y=1$$ が成り立ちます。例えば、何か連立方程式をイメージすると、
- 何かしらの手段で \(x\) の値を得られれば \(y=1-x\) となり、
- 何かしらの手段で \(y\) の値を得られれば \(x=1-y\) となります。
\(x\) の値を知りたい中で、\(x+y=1\) が成り立つ \(y\) を考えることができます。\(x=P(A)\) でも \(y=P(\overline{A})\) でも、問題の解決に対する価値は同じです。どちらを求めた方が良いのか、柔軟に判断できれば良いなと思います。
今回は、互いに素な素数 \(3\) と \(5\) で割り切れるかを考えるとき、そのままだと「または」で議論することになります。それでは計算が厳しい印象であったので、余事象を考えて「かつ」で処理してゆきました。
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