【高校数学:因数分解】練習問題99問!公式の考え・たすきがけのコツをわかりやすく。

数学IA

今回は、高校数学でも分野を問わず現れる多項式の計算のうち、多項式の因数分解 の計算を扱いたいと思います。

一部に数学IIの内容も含みますが、数学Iの内容を中心とし、有理数の範囲で因数分解を行います。また、係数が全て整数であって、互いに素ではなかった場合、それらの最大公約数を括り出すこととします。

前半の問題1から問題5が基本編、後半の問題6から問題10が応用編です。基本編と応用編、それぞれに解答例も用意してあります。ぜひ、お役立てください!

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基本編

問題1:共通因数をくくり出す

問題1

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(2ac+5bc\)

(2)\(12x^3y^2-16x^2y^3\)

(3)\(ax-ay+2az\)

(4)\(2ax+bx-4cx\)

(5)\(5x^3-30x^2+50x\)

(6)\(20x^2yz+16xy^2z^2-24xyz\)

(7)\((a+b)x-(a+b)y\)

(8)\((a-2b)xy+(2b-a)y^2\)

(9)\((x+y)^2-(x+y)z\)

(10)\(2ab(x+y+z)+b^2(x+y+z)^2\)

解説

因数分解とは、与えられた多項式をいくつかの多項式の積で表すことです。多項式どうしではなく、よりシンプルな型である

(単項式)×(多項式)

への因数分解が基礎となります。

例えば、\(m(x+y)\) を展開するときは分配法則を用いて $$m(x+y)=mx+my$$ としていました。これの逆の操作なので、因数分解する際には

分配法則によって共通する因数をくくり出す

ことを常に意識します。

この操作は一度に終える必要はないので、正確に共通因数をくくり出してゆきましょう。

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問題2:二次式(基本)

問題2

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^2-7x+12\)

(2)\(x^2-8xy-20y^2\)

(3)\(a^2+3ab-28b^2\)

(4)\(3x^2z+18xyz+15y^2z\)

(5)\(x^2+2xy+y^2\)

(6)\(4a^2-4a+1\)

(7)\(3as^2t^2+18ast+27a\)

(8)\(x^2-25\)

(9)\(4a^2-9b^2\)

(10)\(98-32x^2y^2\)

解説

二次式を因数分解すると、次数に着目することで

(一次式)×(一次式)

の型になることがわかります。ここでは、そのふたつの (一次式) の一次の項が同一の場合を考えます。

例えば、\((x+a)(x+b)\) を展開すると

$$(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab$$

となります。これを逆向きに計算するので、

  • 一次の項の係数 \(=a+b\)
  • 定数項 \(=ab\)

となるような定数 \(a\),\(b\) を見出だせれば良いです。整数の範囲で \(a\) と \(b\) を見つけ出すことを考えると、積が定数項になることから絞り込み、和が \(x\) の係数になることを確認してゆくのがよいと思います。

特に、「\(b=a\)」のときを考えると、因数分解の公式と呼ばれるもののひとつ $$x^2+2ax+a^2=(x+a)^2$$ を得ます。定数項が平方数 \(a^2\) のときは、もとの数 \(a\) が \(2\) 個で \(2\) 乗になっているか確認するとよいでしょう。

また、「\(b=-a\) 」ときを考えると、同じく $$x^2-a^2=(x+a)(x-a)$$ を得ます。\(2\) 乗の差になっているときは、もとの数の和 \((x+a)\) と差 \((x-a)\) の積になります。

いずれの場合も、共通因数をくくり出す意識は常に必要だと思います。くくり出さなければ絶対に解けないということはないですが、分解を進めることで各公式の使い所がわかりやすくなります。

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問題3:二次式(たすきがけ)

問題3

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(2x^2-3x+1\)

(2)\(2x^2+5x+2\)

(3)\(3x^2-10x+3\)

(4)\(3x^2+5x-2\)

(5)\(4x^2+9x+5\)

(6)\(5x^2-13x-6\)

(7)\(6x^2+7x-3\)

(8)\(8x^2+6x-9\)

(9)\(6x^2+x-12\)

(10)\(12x^2+8x-15\)

解説

二次の項の係数が平方数でないときは、一次の項が異なるふたつの (一次式) への分解を考えます。

例えば、\(2x^2-7x-15\) を因数分解してみましょう。まず、

\(2x^2-7x-15=\ \)(一次式)×(一次式)

のように、どのような形に分解するのか意識しておきます。ここで、

  • 左辺の二次の項 \(2x^2\) は右辺の一次の項どうしの積から得られるので \(x\) と \(2x\) が候補です。\(-x\) と \(-2x\) でもよいですが、ふたつの因数を共に \((-1)\) 倍するだけなので、\(x\) と \(2x\) で十分です。
  • 左辺の定数項 \(-15\) は右辺の定数項どうしの積から得られるので \(1\) と \(15\)、または、\(3\) と \(5\) が候補です。符号は後で考えます。

この時点で、

\(2x^2-7x-15=(2x  )(x  )\)

ここまで書けていて、残りの定数項は以下のように埋まります。

  • もとの定数項 \(-15\) の符号がマイナスなので、ふたつの定数項は異符号です。つまり、\(1\) と \(15\)、\(3\) と \(5\) によるを考えます。(プラスなら、同符号、を考えます。)
  • その際、ただの差(和)ではなく、\(x\) と \(2x\) をそれぞれ作用させて \(-7x\) を作ります。今回の場合 $$x\times 3-2x\times 5=-7x$$ です。
  • ここでかけ合わせたもの同士は同じ括弧内に入らないので $$2x^2-7x-15=(2x+3)(x-5)$$ を得ます。

二次の係数と定数項の積への分解で絞り込み、その組み合わせも有限なので、それら一個一個の “積の和” を確かめることになります。

例えば、\(2x^2+5x+2\) を因数分解するときに

  • \(x^2\) の係数が \(2\) なので \(1\) と \(2\)
  • 定数項が \(2\) なので \(1\) と \(2\)

を考えます。余裕が出てきたら、元の多項式の係数に奇数が含まれるので

\((2x+2)\) が因数になることはないだろう…

と気づきます。このように、柔軟な視点でそのパターンを絞り込み、素早く処理できるようになりたいです。

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問題4:三次式(基本)

問題4

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^3-1\)

(2)\(x^3+8\)

(3)\(27x^3-1\)

(4)\(27x^3+8\)

(5)\(125a^3+27b^3\)

(6)\(64a^3-216b^3\)

(7)\(x^3+3x^2+3x+1\)

(8)\(x^3-6x^2+12x-8\)

(9)\(27x^3+27x^2+9x+1\)

(10)\(8x^3-36x^2+54x-27\)

解説

基本的な三次式の因数分解では、展開にも通じますが、一次の因数を上手く使うとよいです。

この範囲では、展開を通して学んだ変形 $$x^3+a^3=(x+a)(x^2-ax+a^2)$$ や $$x^3+3ax^2+3a^2x+a^3=(x+a)^3$$ を着実に使ってゆきたいです。必要であれば、\(a\) を \(-a\) に置き換えた $$x^3-a^3=(x-a)(x^2+ax+a^2)$$ や $$x^3-3ax^2+3a^2x-a^3=(x-a)^3$$ も頭に入れておきましょう。

最初に述べた、一次の因数を上手く使うということを説明しておきます。

例えば、\(x^3-8\) の因数分解を上記の公式を前提とせず行おうとすると

  1. \(x=2\) とすると \(x^3-8=0\) なので、因数定理より $$x^3-8=(x-2)\times(二次式)$$ と分解できる。
  2. 最高次の係数と定数項の、各々の積を考えると $$x^3-8=(x-2)(x^2+\fbox{ }\ x+4)$$ まで形が決まる。
  3. \(x^2+\fbox{ }\,x+4\) に対して \(x-2\) をかけたものを筆算のようにイメージすると
    \begin{align}
    &x^3+\fbox{ }\,x^2+4x\\
    &\quad-2x^2-2\,\fbox{ }\,x-8
    \end{align}となる。
  4. \(x\) をかけたものの “位” がひとつ上がり、\(-2\) をかけたものとの和で、\(x^2\) と \(x\) の係数を \(0\) にするので、因数 \(x^2+\fbox{ }\,x+4\) の係数は $$1\ \to\ 2\ \to\ 4$$ のように等比数列をなす。

以上のように、一次の因数をかける筆算をイメージすると、\(0\) になる係数から隣り合う係数の比がわかります。

例えば、\(x^3+1\) を因数分解しようとすると \((x+1)\) を因数に持つことが因数定理からわかります。\((x+1)\) をかけると \(x^2\) と \(x\) の係数が \(0\) になるような \(2\) 次式ですから、各係数の絶対値は等しく、符号が交互になっていることが想像できます。実際、“位” をずらして足し合わせるだけなので
\begin{align}
&x^3-x^2+x\\
&\quad +x^2-x+1
\end{align}が \(x^3+1\) となりますね。

この公式で現れる二次の因数 \(x^2\pm ax+a^2\) の判別式は $$(\pm a)^2-4a^2=-3a^2$$ なので、\(a\) が実数の定数なら、実数の範囲で因数分解が終わっています。

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問題5:高次式(因数定理)

問題5

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^3-6x^2+11x-6\)

(2)\(x^3-7x+6\)

(3)\(x^3-x^2-10x-8\)

(4)\(2x^3+7x^2+7x+2\)

(5)\(2x^3-3x^2-11x+6\)

(6)\(4x^3+4x^2-5x-3\)

(7)\(6x^3+13x^2+x-2\)

(8)\(x^4-7x^2-6x\)

(9)\(x^4-9x^2+4x+12\)

(10)\(x^4-25x^2-60x-36\)

解説

今回は有理数の範囲で因数分解を進めています。有理数係数の多項式は、適切なくくり出しによって

(有理数)×(整数係数の多項式)

の形にできます。そこで、整数係数の多項式の因数分解について考えます。

三次式の場合、次数の低い多項式の積に分解できるなら、必ず

(一次式)×(二次式)

の形で書けます。\(4\) 次式の場合は

(一次式)×(三次式)

もしくは

(二次式)×(二次式)

の形で書けます。

このように、一次の因数を見つけることは、因数分解を進める有効な方法であるわけです。

有理数係数の一次の因数を見つけることは、因数定理より、もとの多項式の有理数根を見つけることと同じです。もとの多項式の \(x\) に有理数を代入して \(=0\) になるかを確かめます。その候補が

  • 定数項の約数
  • それを最高次の係数の(正の)約数で割った数

です。

例えば、\(x^3-6x^2+11x-6\) を因数分解する場合は

  • 定数項 \(-6\) の約数である \(\pm1\),\(\pm2\),\(\pm3\),\(\pm6\)

を代入して確認します。最高次の係数が \(1\) なので、これで十分です。

他にも、\(4x^3+4x^2-5x-3\) を因数分解する場合は

  • 定数項 \(-3\) の約数である \(\pm1\),\(\pm3\)

そして

  • それを最高次の係数 \(4\) の約数で割った数 \(\pm\frac{1}{2}\),\(\pm\frac{3}{2}\),\(\pm\frac{1}{4}\),\(\pm\frac{3}{4}\)

を代入して確認します。ここで、\(\pm1\),\(\pm3\) は最高次の係数 \(4\) の約数 \(1\) で割った場合にも再登場しますが、省略しました。

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基本編の解答例

ここまでに紹介した問題の解答例です。見たい問題をクリック・タップしてご覧ください。(数式が長く、スマホなどの画面に収まっていない場合、横にスクロールすることで数式の続きが見れます。)

解答例1

(1)
\begin{align}
2ac+5bc\boldsymbol{=(2a+5b)c}
\end{align}

(2)
\begin{align}
12x^3y^2-16x^2y^3\boldsymbol{=4x^2y^2(3x-4y)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
ax-ay+2az\boldsymbol{=a(x-y+2z)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
2ax+bx-4cx\boldsymbol{=(2a+b-4c)x}
\end{align}

(5)
\begin{align}
5x^3-30x^2+50x\boldsymbol{=5x(x^2-6x+10)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
20x^2yz+16xy^2z^2-24xyz\boldsymbol{=4xyz(5x+4yz-6)}
\end{align}

(7)
\begin{align}
(a+b)x-(a+b)y\boldsymbol{=(a+b)(x-y)}
\end{align}

(8)
\begin{align}
(a-2b)xy+(2b-a)y^2\boldsymbol{=(a-2b)(x-y)y}
\end{align}

(9)
\begin{align}
(x+y)^2-(x+y)z
&=(x+y)\{(x+y)-z\}\\
&\,\boldsymbol{=(x+y)(x+y-z)}
\end{align}

(10)
\begin{align}
2ab(x+y+z)+b^2(x+y+z)^2
&=b(x+y+z)\{2a+b(x+y+z)\}\\
&\,\boldsymbol{=b(x+y+z)(2a+bx+by+bz)}
\end{align}

解答例2

(1)
\begin{align}
x^2-7x+12\boldsymbol{=(x-3)(x-4)}
\end{align}

(2)
\begin{align}
x^2-8xy-20y^2\boldsymbol{=(x-10y)(x+2y)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
a^2+3ab-28b^2\boldsymbol{=(a+7b)(a-4b)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
3x^2z+18xyz+15y^2z
&=3z(x^2+6xy+5y^2)\\
&\,\boldsymbol{=3z(x+y)(x+5y)}
\end{align}

(5)
\begin{align}
x^2+2xy+y^2\boldsymbol{=(x+y)^2}
\end{align}

(6)
\begin{align}
4a^2-4a+1
&=(2a)^2-2(2a)+1\\
&\,\boldsymbol{=(2a-1)^2}
\end{align}

(7)
\begin{align}
3as^2t^2+18ast+27a
&=3a(s^2t^2+6st+9)\\
&=3a\{(st)^2+6st+9\}\\
&\,\boldsymbol{=3a(st+3)^2}
\end{align}

(8)
\begin{align}
x^2-25
&=x^2-5^2\\
&\,\boldsymbol{=(x+5)(x-5)}
\end{align}

(9)
\begin{align}
4a^2-9b^2
&=(2a)^2-(3b)^2\\
&\,\boldsymbol{=(2a+3b)(2a-3b)}
\end{align}

(10)
\begin{align}
98-32x^2y^2
&=2(49-16x^2y^2)\\
&=2\{7^2-(4xy)^2\}\\
&\,\boldsymbol{=2(7+4xy)(7-4xy)}
\end{align}

解答例3

(1)
\begin{align}
2x^2-3x+1\boldsymbol{=(2x-1)(x-1)}
\end{align}

(2)
\begin{align}
2x^2+5x+2\boldsymbol{=(2x+1)(x+2)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
3x^2-10x+3\boldsymbol{=(3x-1)(x-3)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
3x^2+5x-2\boldsymbol{=(3x-1)(x+2)}
\end{align}

(5)
\begin{align}
4x^2+9x+5\boldsymbol{=(4x+5)(x+1)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
5x^2-13x-6\boldsymbol{=(5x+2)(x-3)}
\end{align}

(7)
\begin{align}
6x^2+7x-3\boldsymbol{=(3x-1)(2x+3)}
\end{align}

(8)
\begin{align}
8x^2+6x-9\boldsymbol{=(2x+3)(4x-3)}
\end{align}

(9)
\begin{align}
6x^2+x-12\boldsymbol{=(2x+3)(3x-4)}
\end{align}

(10)
\begin{align}
12x^2+8x-15\boldsymbol{=(2x+3)(6x-5)}
\end{align}

解答例4

(1)
\begin{align}
x^3-1\boldsymbol{=(x-1)(x^2+x+1)}
\end{align}

(2)
\begin{align}
x^3+8
&=x^3+2^3\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(x^2-2x+4)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
27x^3-1
&=(3x)^3-1\\
&\,\boldsymbol{=(3x-1)(9x^2+3x+1)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
27x^3+8
&=(3x)^3+2^3\\
&\,\boldsymbol{=(3x+2)(9x^2-6x+4)}
\end{align}

(5)
\begin{align}
125a^3+27b^3
&=(5a)^3+(3b)^3\\
&\,\boldsymbol{=(5a+3b)(25a^2-15ab+9b^2)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
64a^3-216b^3
&=8(8a^3-27b^3)\\
&=8\{(2a)^3-(3b)^3\}\\
&\,\boldsymbol{=8(2a-3b)(4a^2+6ab+9b^2)}
\end{align}

(7)
\begin{align}
x^3+3x^2+3x+1\boldsymbol{=(x+1)^3}
\end{align}

(8)
\begin{align}
x^3-6x^2+12x-8\boldsymbol{=(x-2)^3}
\end{align}

(9)
\begin{align}
27x^3+27x^2+9x+1
&=(3x)^3+3(3x)^2+3(3x)+1\\
&\,\boldsymbol{=(3x+1)^3}
\end{align}

(10)
\begin{align}
8x^3-36x^2+54x-27
&=(2x)^3-3\times3\times(2x)^2+3\times3^2\times(2x)-3^3\\
&\,\boldsymbol{=(2x-3)^3}
\end{align}

解答例5

(1)
\begin{align}
x^3-6x^2+11x-6
&=(x-1)(x^2-5x+6)\\
&\,\boldsymbol{=(x-1)(x-2)(x-3)}
\end{align}

(2)
\begin{align}
x^3-7x+6
&=(x-1)(x^2+x-6)\\
&\,\boldsymbol{=(x-1)(x-2)(x+3)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
x^3-x^2-10x-8
&=(x+1)(x^2-2x-8)\\
&\,\boldsymbol{=(x+1)(x+2)(x-4)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
2x^3+7x^2+7x+2
&=(x+1)(2x^2+5x+2)\\
&\,\boldsymbol{=(x+1)(x+2)(2x+1)}
\end{align}

(5)
\begin{align}
2x^3-3x^2-11x+6
&=(x+2)(2x^2-7x+3)\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(x-3)(2x-1)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
4x^3+4x^2-5x-3
&=(x-1)(4x^2+8x+3)\\
&\,\boldsymbol{=(x-1)(2x+1)(2x+3)}
\end{align}

(7)
\begin{align}
6x^3+13x^2+x-2
&=(x+2)(6x^2+x-1)\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(2x+1)(3x-1)}
\end{align}

(8)
\begin{align}
x^4-7x^2-6x
&=x(x^3-7x-6)\\
&=x(x+1)(x^2-x-6)\\
&\,\boldsymbol{=x(x+1)(x+2)(x-3)}
\end{align}

(9)
\begin{align}
x^4-9x^2+4x+12
&=(x+1)(x^3-x^2-8x+12)\\
&=(x+1)(x-2)(x^2+x-6)\\
&\,\boldsymbol{=(x+1)(x-2)^2(x+3)}
\end{align}

(10)
\begin{align}
x^4-25x^2-60x-36
&=(x+1)(x^3-x^2-24x-36)\\
&=(x+1)(x+2)(x^2-3x-18)\\
&\,\boldsymbol{=(x+1)(x+2)(x+3)(x-6)}
\end{align}

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応用編

問題6:置き換えの工夫

問題6

以下の式を因数分解せよ。

(1)\((x+2)^2+5(x+2)+6\)

(2)\(3(2x-1)^2-5(2x-1)+2\)

(3)\((x^2+x)^2+2(x^2+x)+1\)

(4)\((x^2-3x)^2-2(x^2-3x)-4\)

(5)\((x+y)^2+2x+2y-3\)

(6)\(9x^2-4y^2+8y-4\)

(7)\((x^2+3x-3)(x^2+3x-5)+1\)

(8)\((x-1)(x-2)(x-3)(x-4)-24\)

(9)\((x-z)^3-(y-z)^3\)

(10)\((x+y+1)^4-(x+y-1)^4\)

問題7:最低次の文字について整理

問題7

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(2a^2-6ab-a-3b-1\)

(2)\(a^3b+2a^2-ab-2\)

(3)\(2x^2-2xy+3xz-3yz\)

(4)\(6x^2+3xy-14xz-yz+4z^2\)

(5)\(x^3-x^2y-xz^2+yz^2\)

(6)\(x^3z-x^2-xy^2z+y^2\)

(7)\(ab+a+b+1\)

(8)\(xy+3x-2y-6\)

(9)\(10ab-2a+5b-1\)

(10)\(8xy+6x-20y-15\)

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問題8:二元二次式、対称式・交代式

問題8

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^2-xy-2y^2-3y-1\)

(2)\(6x^2+5xy+y^2-x-y-2\)

(3)\(x^2+3xy-4y^2+x+14y-6\)

(4)\(2x^2+5xy-3y^2-7x+7y-4\)

(5)\(6x^2-3xy-3y^2-8x+14y-8\)

(6)\(1-a-b-c+ab+bc+ca-abc\)

(7)\(a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2\)
                  \(+2abc\)

(8)\(a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2\)
                  \(+3abc\)

(9)\(a^2(c-b)+b^2(a-c)+c^2(b-a)\)

(10)\(a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)\)

問題9:複二次式

問題9

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^4+5x^2+4\)

(2)\(x^4-5x^2+4\)

(3)\(x^4+3x^2-4\)

(4)\(x^4+x^2+1\)

(5)\(x^4+4\)

(6)\(9x^4+25\)

(7)\(x^4+3x^2y^2+4y^4\)

(8)\(x^4-9x^2y^2+16y^4\)

(9)\(9x^4-10x^2y^2+y^4\)

(10)\(25x^4+11x^2y^2+4y^4\)

問題10:その他

問題10

以下の式を因数分解せよ。

(1)\(x^4+12x-5\)

(2)\(x^5+x+1\)

(3)\(a^3+b^3+c^3-3abc\)

(4)\(x^3-y^3-z^3-3xyz\)

(5)\(u^3+3uv+v^3-1\)

(6)\(x^6-y^6\)

(7)\(a^4+b^4+c^4\)
     \(-2a^2b^2-2b^2c^2-2c^2a^2\)

(8)\((a^2-1)(b^2-1)-4ab\)

(9)\(x(x+2)(x+4)\)
     \(-y(y+2)(y+4)+xy(x-y)\)

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応用編の解答例

ここまでに紹介した問題の解答例です。見たい問題をクリック・タップしてご覧ください。(数式が長く、スマホなどの画面に収まっていない場合、横にスクロールすることで数式の続きが見れます。)

解答例6

あくまで因数分解をする問題なので、必要以上に展開しない方針で計算を進めます。

(1)\(x+2\) を一文字とみなします。
\begin{align}
(x+2)^2+5(x+2)+6
&=\{(x+2)+2\}\{(x+2)+3\}\\
&\,\boldsymbol{=(x+4)(x+5)}
\end{align}

(2)\(2x-1\) を一文字とみなします。
\begin{align}
3(2x-1)^2-5(2x-1)+2
&=\{3(2x-1)-2\}\{(2x-1)-1\}\\
&=(6x-5)(2x-2)\\
&\,\boldsymbol{=2(6x-5)(x-1)}
\end{align}

(3)\(x^2+x\) を一文字とみなします。
\begin{align}
(x^2+x)^2+2(x^2+x)+1
&=\{(x^2+x)+1\}^2\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+x+1)^2}
\end{align}

(4)\(x^2-3x\) を一文字とみなします。
\begin{align}
(x^2-3x)^2-2(x^2-3x)-4
&=\{(x^2-3x)+2\}\{(x^2-3x)-4\}\\
&=(x^2-3x+2)(x^2-3x-4)\\
&\,\boldsymbol{=(x-1)(x-2)(x+1)(x-4)}
\end{align}

(5)\(x+y\) を一文字とみなします。
\begin{align}
(x+y)^2+2x+2y-3
&=(x+y)^2+2(x+y)-3\\
&=\{(x+y)+3\}\{(x+y)-1\}\\
&\,\boldsymbol{=(x+y+3)(x+y-1)}
\end{align}

(6)式を整理したあとに \(2(y-1)\) を一文字とみなします。
\begin{align}
9x^2-4y^2+8y-4
&=9x^2-4(y^2-2y+1)\\
&=9x^2-4(y-1)^2\\
&=9x^2-\{2(y-1)\}^2\\
&=\{3x+2(y-1)\}\{3x-2(y-1)\}\\
&\,\boldsymbol{=(3x+2y-2)(3x-2y+2)}
\end{align}

(7)\(x^2+3x\) を一文字とみなします。最後の \(+1\) がどうしようもないので、定数項が現れるところまで最低限の展開をします。
\begin{align}
(x^2+3x-3)(x^2+3x-5)+1
&=(x^2+3x)^2-8(x^2+3x)+15+1\\
&=(x^2+3x)^2-8(x^2+3x)+16\\
&=\{(x^2+3x)-4\}^2\\
&=(x^2+3x-4)^2\\
&=\{(x+3)(x-1)\}^2\\
&\,\boldsymbol{=(x+4)^2(x-1)^2}
\end{align}

別の解き方を紹介します。もとの式にある \(x^2+3x-3\) と \(x^2+3x-5\) の平均 \(x^2+3x-4\) を意識して使ったものです。
\begin{align}
(x^2+3x-3)(x^2+3x-5)+1
&=\{(x^2+3x-4)+1\}\{(x^2+3x-4)-1\}+1\\
&=(x^2+3x-4)^2-1+1\\
&=(x^2+3x-4)^2\\
&=\{(x+3)(x-1)\}^2\\
&\,\boldsymbol{=(x+4)^2(x-1)^2}
\end{align}

(8)同じ形を作り出したいので、組み合わせを工夫します。
\begin{align}
(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)-24
&=\{(x-1)(x-4)\}\{(x-2)(x-3)\}-24\\
&=(x^2-5x+4)(x^2-5x+6)-24\\
&=(x^2-5x)^2+10(x^2-5x)+24-24\\
&=(x^2-5x)^2+10(x^2-5x)\\
&=(x^2-5x)\{(x^2-5x)+10\}\\
&\,\boldsymbol{=x(x-5)(x^2-5x+10)}
\end{align}

先ほどの(7)と同様に、別の解き方を紹介します。
\begin{align}
(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)-24
&=\{(x-1)(x-4)\}\{(x-2)(x-3)\}-24\\
&=(x^2-5x+4)(x^2-5x+6)-24\\
&=\{(x^2-5x+5)-1\}\{(x^2-5x+5)+1\}-24\\
&=(x^2-5x+5)^2-1-24\\
&=(x^2-5x+5)^2-25\\
&=\{(x^2-5x+5)-5\}\{(x^2-5x+5)+5\}\\
&=(x^2-5x)(x^2-5x+10)\\
&\,\boldsymbol{=x(x-5)(x^2-5x+10)}
\end{align}

(9)もとの式は \(a^3-b^3\) の形になっています。
\begin{align}
(x-z)^3-(y-z)^3
&=\{(x-z)-(y-z)\}\{(x-z)^2+(x-z)(y-z)+(y-z)^2\}\\
&=(x-y)\{x^2+xy+y^2-3(x+y)z+3z^2\}\\
&\,\boldsymbol{=(x-y)(x^2+y^2+3z^2+xy-3yz-3zx)}
\end{align}

(10)見やすくするのために \(A=x+y+1\),\(B=x+y-1\) とおいてみます。
\begin{align}
(x+y+1)^4-(x+y-1)^4
&=A^4-B^4\\
&=(A^2+B^2)(A^2-B^2)\\
&=(A^2+B^2)(A+B)(A-B)\\
&=\{2(x+y)^2+2\}\times\{2(x+y)\}\times2\\
&=8(x+y)\{(x+y)^2+1\}\\
&\,\boldsymbol{=8(x+y)(x^2+2xy+y^2+1)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。新たに \(M=x+y\) とおきます。
\begin{align}
(x+y+1)^4-(x+y-1)^4
&=(M+1)^4-(M-1)^4\\
&=(M^4+4M^3+6M^2+4M+1)-(M^4-4M^3+6M^2-4M+1)^4\\
&=2(4M^3+4M)\\
&=8M(M^2+1)\\
&\,\boldsymbol{=8(x+y)(x^2+2xy+y^2+1)}
\end{align}

解答例7

(1)最も次数の低い文字 \(b\) について整理してみます。
\begin{align}
2a^2-6ab-a-3b-1
&=(-6a-3)b+2a^2-a-1\\
&=-3(2a+1)b+(2a+1)(a-1)\\
&=(2a+1)\{(-3b)+(a-1)\}\\
&\,\boldsymbol{=(2a+1)(a-3b-1)}
\end{align}

(2)最も次数の低い文字 \(b\) について整理してみます。
\begin{align}
a^3b+2a^2-ab-2
&=(a^3-a)b+2a^2-2\\
&=a(a+1)(a-1)b+2(a+1)(a-1)\\
&\,\boldsymbol{=(a+1)(a-1)(ab+2)}
\end{align}

(3)最も次数の低い文字 \(z\) について整理してみます。
\begin{align}
2x^2-2xy+3xz-3yz
&=(3x-3y)z+2x^2-2xy\\
&=3(x-y)z+2x(x-y)\\
&\,\boldsymbol{=(x-y)(2x+3z)}
\end{align}

(4)最も次数の低い文字 \(y\) について整理してみます。
\begin{align}
6x^2+3xy-14xz-yz+4z^2
&=(3x-z)y+6x^2-14xz+4z^2\\
&=(3x-z)y+2(3x-z)(x-2z)\\
&=(3x-z)\{y+2(x-2z)\}\\
&\,\boldsymbol{=(3x-z)(2x+y-4z)}
\end{align}

(5)最も次数の低い文字 \(y\) について整理してみます。
\begin{align}
x^3-x^2y-xz^2+yz^2
&=(-x^2+z^2)y+x^3-xz^2\\
&=-(x+z)(x-z)y+x(x+z)(x-z)\\
&\,\boldsymbol{=(x-y)(x-z)(x+z)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。\(z^2\) を一文字と見て整理してみます。
\begin{align}
x^3-x^2y-xz^2+yz^2
&=x^3-x^2y+(-x+y)z^2\\
&=x^2(x-y)-(x-y)z^2\\
&=(x-y)(x^2-z^2)\\
&\,\boldsymbol{=(x-y)(x-z)(x+z)}
\end{align}

(6)最も次数の低い文字 \(z\) について整理してみます。
\begin{align}
x^3z-x^2-xy^2z+y^2
&=(x^3-xy^2)z-x^2+y^2\\
&=x(x+y)(x-y)z-(x+y)(x-y)\\
&\,\boldsymbol{=(x+y)(x-y)(xz-1)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。\(y^2\) を一文字と見て整理してみます。
\begin{align}
x^3z-x^2-xy^2z+y^2
&=x^3z-x^2+(-xz+1)y^2\\
&=x^2(xz-1)-(xz-1)y^2\\
&=(x^2-y^2)(xz-1)\\
&\,\boldsymbol{=(x+y)(x-y)(xz-1)}
\end{align}

(7)一つめの解き方として、文字 \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
ab+a+b+1
&=(b+1)a+b+1\\
&\,\boldsymbol{=(a+1)(b+1)}
\end{align}

二つめの解き方は文字 \(b\) について整理する方法ですが、今回は対称式なので同じ変形になります。
\begin{align}
ab+a+b+1
&=(a+1)b+a+1\\
&\,\boldsymbol{=(a+1)(b+1)}
\end{align}

(8)一つめの解き方として、文字 \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
xy+3x-2y-6
&=(y+3)x-2y-6\\
&=(y+3)x-2(y+3)\\
&\,\boldsymbol{=(x-2)(y+3)}
\end{align}

二つめの解き方として、文字 \(y\) について整理してみます。
\begin{align}
xy+3x-2y-6
&=(x-2)y+3x-6\\
&=(x-2)y+3(x-2)\\
&\,\boldsymbol{=(x-2)(y+3)}
\end{align}

(9)一つめの解き方として、文字 \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
10ab-2a+5b-1
&=(10b-2)a+5b-1\\
&=2(5b-1)a+5b-1\\
&\,\boldsymbol{=(2a+1)(5b-1)}
\end{align}

二つめの解き方として、文字 \(b\) について整理してみます。
\begin{align}
10ab-2a+5b-1
&=(10a+5)b-2a-1\\
&=5(2a+1)b-(2a+1)\\
&\,\boldsymbol{=(2a+1)(5b-1)}
\end{align}

(10)一つめの解き方として、文字 \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
8xy+6x-20y-15
&=(8y+6)x-20y-15\\
&=2(4y+3)x-5(4y+3)\\
&\,\boldsymbol{=(2x-5)(4y+3)}
\end{align}

二つめの解き方として、文字 \(y\) について整理してみます。
\begin{align}
8xy+6x-20y-15
&=(8x-20)y+6x-15\\
&=4(2x-5)y+3(2x-5)\\
&\,\boldsymbol{=(2x-5)(4y+3)}
\end{align}

解答例8

(1)\(x\) についても \(y\) についても \(2\) 次式です。今回は \(2\) 乗の項の係数が \(1\) である \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
x^2-xy-2y^2-3y-1
&=x^2+(-y)x-2y^2-3y-1\\
&=x^2+(-y)x-(2y+1)(y+1)\\
&=\{x-(2y+1)\}\{x+(y+1)\}\\
&\,\boldsymbol{=(x-2y-1)(x+y+1)}
\end{align}

(2)\(x\) について整理してもよいですが、文字を含んだ「たすきがけ」をすることになります。たすきがけは避けられませんが、(1)と同様に \(2\) 乗の項の係数が \(1\) である \(y\) について整理してみると、通常のたすきがけで処理できます。
\begin{align}
6x^2+5xy+y^2-x-y-2
&=y^2+(5x-1)y+6x^2-x-2\\
&=y^2+(5x-1)y+(2x+1)(3x-2)\\
&=\{y+(2x+1)\}\{y+(3x-2)\}\\
&\,\boldsymbol{=(2x+y+1)(3x+y-2)}
\end{align}

(3)\(2\) 乗の項の係数が \(1\) である \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
x^2+3xy-4y^2+x+14y-6
&=x^2+(3y+1)x-4y^2+14y-6\\
&=x^2+(3y+1)x-2(2y-1)(y-3)\\
&=\{x+2(2y-1)\}\{x-(y-3)\}\\
&\,\boldsymbol{=(x+4y-2)(x-y+3)}
\end{align}

(4)\(2\) 乗の項の係数は \(x\) も \(y\) も \(1\) ではありません。慣れた形に近い方が計算しやすいため、係数が正である \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
2x^2+5xy-3y^2-7x+7y-4
&=2x^2+(5y-7)x-3y^2+7y-4\\
&=2x^2+(5y-7)x-(3y-4)(y-1)\\
&=\{2x-(y-1)\}\{x+(3y-4)\}\\
&\,\boldsymbol{=(2x-y+1)(x+3y-4)}
\end{align}

(5)この問題も(4)と同様に \(2\) 乗の項の係数が正である \(x\) について整理してみます。
\begin{align}
6x^2-3xy-3y^2-8x+14y-8
&=6x^2+(-3y-8)x-3y^2+14y-8\\
&=6x^2+(-3y-8)x-(3y-2)(y-4)\\
&=\{3x-(3y-2)\}\{2y+(y-4)\}\\
&\,\boldsymbol{=(3x-3y+2)(2x+y-4)}
\end{align}

(6)\(a\), \(b\), \(c\) に関する対称式なので、例えば \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
1-a-b-c+ab+bc+ca-abc
&=1-b-c+bc-(1-b-c+bc)a\\
&=(1-a)(1-b-c+bc)\\
&\,\boldsymbol{=(1-a)(1-b)(1-c)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。もとの式は多項式 $$f(t)=t^3-(a+b+c)t^2+(ab+bc+ca)t-abc$$ に \(t=1\) を代入したものです。ここで、方程式 \(f(t)=0\) について解と係数の関係を考えることで $$f(t)=(t-a)(t-b)(t-c)$$ を得ます。よって、 $$(\mbox{与式})=f(1)\boldsymbol{=(1-a)(1-b)(1-c)}$$ が成り立ちます。

(7)\(a\),\(b\),\(c\) に関する対称式なので、例えば \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2+2abc
&=(b+c)a^2+(b^2+2bc+c^2)a+b^2c+bc^2\\
&=(b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)\\
&=(b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}\\
&=(b+c)(a+b)(a+c)\\
&\,\boldsymbol{=(a+b)(b+c)(c+a)}
\end{align}

(8)\(a\),\(b\),\(c\) に関する対称式なので、例えば \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2+3abc
&=(b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+b^2c+bc^2\\
&=(b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+bc(b+c)\\
&=\{a+(b+c)\}\{(b+c)a+bc\}\\
&\,\boldsymbol{=(a+b+c)(ab+bc+ca)}
\end{align}

(9)対称式ではないですが、\(a\),\(b\),\(c\) の次数は等しいので、例えば \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
a^2(c-b)+b^2(a-c)+c^2(b-a)
&=(c-b)a^2+(b^2-c^2)a-b^2c+c^2b\\
&=(c-b)a^2+(b-c)(b+c)a+bc(c-b)\\
&=(c-b){a^2-(b+c)a+bc}\\
&=(c-b)(a-b)(a-c)\\
&\,\boldsymbol{=(a-b)(b-c)(c-a)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。もとの式は \(a=b\) とすると \(0\) になるので \(a-b\) を因数に持ちます。同様に、\(b=c\) と \(c=a\) のときも \(0\) になるので \(b-c\) と \(c-a\) も因数に持ちます。よって、もとの式が \(3\) 次式であることから $$(\mbox{与式})=\fbox{定数}(a-b)(b-c)(c-a)$$ と書けます。さらに、たとえば両辺の \(ab^2\) の係数を比較することで $$(\mbox{与式})\,\boldsymbol{=(a-b)(b-c)(c-a)}$$ を得ます。

コメントをしておきます。このように \(a=b\),\(b=c\),\(c=a\) などとしたときに \(0\) になる式を交代式と呼びます。この別解からもわかるように、\(a\),\(b\),\(c\) に関する交代式は必ず \((a-b)(b-c)(c-a)\) を因数に持ちます。さらに、交代式を \((a-b)(b-c)(c-a)\) で割ったときの商は対称式になることが知られています。

(10)解く前に考察をしておきます。もとの式は \(a\),\(b\),\(c\) に関する交代式なので \((a-b)(b-c)(c-a)\) を因数に持ちます。また、\(4\) 次式なので $$(\mbox{与式})=(a-b)(b-c)(c-a)\fbox{1次式}$$ の形になることが予想されます。もとの式は全ての項が \(4\) 次なので、\(\fbox{1次式}\) に定数項はありません。よって、\(\fbox{1次式}\) は対称式であることから、それは基本対称式 \(a+b+c\) の定数倍であるはずです。

さて、もとの式を \(a\) について整理してみます。
\begin{align}
a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)
&=(c-b)a^3+(b^3-c^3)a-b^3c+c^3b\\
&=(c-b)a^3+(b-c)(b^2+bc+c^2)a+bc(c-b)(c+b)\\
&=(c-b)\{a^3-(b^2+bc+c^2)a+bc(c+b)\}\\
&=(c-b)\{(c-a)b^2+(c^2-ca)b+a^3-c^2a\}\\
&=(c-b)\{(c-a)b^2+(c-a)cb+a(a+c)(a-c)\}\\
&=(c-b)(c-a)\{b^2+cb-a(a+c)\}\\
&=(c-b)(c-a)(b-a)\{b+(a+c)\}\\
&\,\boldsymbol{=(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)}
\end{align}

解答例9

(1)
\begin{align}
x^4+5x^2+4
&=(x^2)^2+5x^2+4\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+4)(x^2+1)}
\end{align}

(2)
\begin{align}
x^4-5x^2+4
&=(x^2)^2-5x^2+4\\
&=(x^2-4)(x^2-1)\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(x-2)(x+1)(x-1)}
\end{align}

別の解き方を二つ紹介します。

\begin{align}
x^4-5x^2+4
&=(x^2)^2+4x^2+4-9x^2\\
&=(x^2+2)^2-(3x)^2\\
&=(x^2+3x+2)(x^2-3x+2)\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(x+1)(x-2)(x-1)}
\end{align}

\begin{align}
x^4-5x^2+4
&=(x^2)^2-4x^2+4-x^2\\
&=(x^2-2)^2-x^2\\
&=(x^2+x-2)(x^2-x-2)\\
&\,\boldsymbol{=(x+2)(x-1)(x-2)(x+1)}
\end{align}

(3)
\begin{align}
x^4+3x^2-4
&=(x^2)^2+3x^2-4\\
&=(x^2+4)(x^2-1)\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+4)(x+1)(x-1)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
x^4+x^2+1
&=(x^2)^2+2x^2+1-x^2\\
&=(x^2+1)^2-x^2\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+x+1)(x^2-x+1)}
\end{align}

別の解き方を紹介します。もとの式を \(f(x)\) とします。\(1\) の立方根のうち虚数であるものの一つ \(\omega\) を代入すると $$f(\omega)=\omega^4+\omega^2+1=\omega+\omega^2+1=0$$ となります。よって、\(\omega\) を根に持つ \(2\) 次式 \(x^2+x+1\) は多項式 \(f(x)\) を割り切ります。多項式の除法を行うことによって $$f(x)\boldsymbol{=(x^2+x+1)(x^2-x+1)}$$ を得ます。

(5)
\begin{align}
x^4+4
&=(x^2)^2+4x^2+4-4x^2\\
&=(x^2+2)^2-(2x)^2\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+2x+2)(x^2-2x+2)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
9x^4-6x^2+25
&=9(x^2)^2+30x^2+25-36x^2\\
&=(3x^2+5)^2-(6x)^2\\
&\,\boldsymbol{=(3x^2+6x+5)(3x^2-6x+5)}
\end{align}

(7)
\begin{align}
x^4+3x^2y^2+4y^4
&=(x^2)^2+4x^2y^2+4(y^2)^2-x^2y^2\\
&=(x^2+2y^2)^2-(xy)^2\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+xy+2y^2)(x^2-xy+2y^2)}
\end{align}

(8)
\begin{align}
x^4-9x^2y^2+16y^4
&=(x^2)^2-8x^2y^2+16(y^2)^2-x^2y^2\\
&=(x^2-4y^2)^2-(xy)^2\\
&\,\boldsymbol{=(x^2+xy-4y^2)(x^2-xy-4y^2)}
\end{align}

(9)
\begin{align}
9x^4-10x^2y^2+y^4
&=9(x^2)^2-6x^2y^2+(y^2)^2-4x^2y^2\\
&=(3x^2-y^2)^2-(2xy)^2\\
&\,\boldsymbol{=(3x^2+2xy-y^2)(3x^2-2xy-y^2)}
\end{align}

(10)
\begin{align}
25x^4+11x^2y^2+4y^4
&=25(x^2)^2+20x^2y^2+4(y^2)^2-9x^2y^2\\
&=(5x^2+2y^2)^2-(3xy)^2\\
&\,\boldsymbol{=(5x^2+3xy+2y^2)(5x^2-3xy+2y^2)}
\end{align}

解答例10

(1)もとの式を \(f(x)\) とおきます。これに \(x=\pm1,\pm5\) を代入しても \(0\) になることはありません。つまり、方程式 \(f(x)=0\) は有理数解を持ちません。よって、因数分解するとき \(1\) 次の因数は持たずに $$f(x)=(2次式)\times(2次式)$$ と表すことができます。

展開したときの \(x^3\) の係数が \(0\) になることに注意すると、有理数の定数を用いて $$f(x)=(x^2+ax+b)(x^2-ax+c)$$ と書けます。右辺を展開してみると $$f(x)=x^4+(-a^2+b+c)x^2+a(-b+c)x+bc$$ となります。この両辺の係数を比較することによって \(a=2\),\(b=-1\),\(c=5\) をとることができます。これより、$$x^4+12x-5\boldsymbol{=(x^2+2x-1)(x^2-2x+5)}$$ を得ます。

(2)もとの式を \(f(x)\) とおきます。\(1\) の立方根のうち虚数であるものの一つ \(\omega\) を代入すると $$f(\omega)=\omega^5+\omega+1=\omega^2+\omega+1=0$$ となります。よって、\(\omega\) を根に持つ \(2\) 次式 \(x^2+x+1\) は多項式 \(f(x)\) を割り切ります。これを踏まえて計算を進めることで次が成り立ちます。
\begin{align}
x^5+x+1
&=x^5+x^4+x^3+x^2+x+1-(x^4+x^3+x^2)\\
&=x^3(x^2+x+1)+(x^2+x+1)-x^2(x^2+x+1)\\
&\,\boldsymbol{=(x^3-x^2+1)(x^2+x+1)}
\end{align}ここで、\(3\) 次式 \(x^3-x^2+1\) に \(x=\pm1\) を代入しても \(0\) にはならないので、これ以上、有理数の範囲で因数分解を進めることはできません。

(3)
\begin{align}
a^3+b^3+c^3-3abc
&=a^3-3bc\cdot a+b^3+c^3\\
&=a^3-3bc\cdot a+(b+c)^3-3bc(b+c)\\
&=a^3+(b+c)^3-3bc\{a+(b+c)\}\\
&=\{a+(b+c)\}^3-3a(b+c)\{a+(b+c)\}-3bc(a+b+c)\\
&=(a+b+c)^3-3a(b+c)(a+b+c)-3bc(a+b+c)\\
&=(a+b+c)\{(a+b+c)^2-3(ab+bc+ca)\}\\
&\,\boldsymbol{=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)}
\end{align}

(4)
\begin{align}
x^3-y^3-x^3-3xyz
&=x^3-3yz\cdot x-(y^3+z^3)\\
&=x^3-3yz\cdot x-(y+z)^3+3yz(y+z)\\
&=x^3-(y+z)^3-3yz\{x-(y+z)\}\\
&=\{x-(y+z)\}^3+3x(y+z)\{x-(y+z)\}-3yz(x-y-z)\\
&=(x-y-z)^3+3x(y+z)(x-y-z)-3yz(x-y-z)\\
&=(x-y-z)\{(x-y-z)^2+3(xy-yz+zx)\}\\
&\,\boldsymbol{=(x-y-z)(x^2+y^2+z^2+xy-yz+zx)}
\end{align}

(5)
\begin{align}
u^3+3uv+v^3-1
&=u^3+v^3+3uv-1\\
&=(u+v)^3-3uv(u+v)+3uv-1\\
&=(u+v)^3-1-3uv(u+v-1)\\
&=\{(u+v)-1\}\{(u+v)^2+(u+v)+1\}-3uv(u+v-1)\\
&=(u+v-1)(u^2+2uv+v^2+u+v+1)-3uv(u+v-1)\\
&\,\boldsymbol{=(u+v-1)(u^2-uv+v^2+u+v+1)}
\end{align}

(6)
\begin{align}
x^6-y^6
&=(x^3)^2-(y^3)^2\\
&=(x^3+y^3)(x^3-y^3)\\
&\,\boldsymbol{=(x+y)(x^2-xy+y^2)(x-y)(x^2+xy+y^2)}
\end{align}

別の解き方として、次のように進める方法が考えられます。
\begin{align}
x^6-y^6
&=(x^2)^3-(y^2)^3\\
&=(x^2-y^2)\{(x^2)^2+x^2y^2+(y^2)^2\}\\
&=(x+y)(x-y)(x^4+x^2y^2+y^4)
\end{align}ここで、最後の因数 \(x^4+x^2y^2+y^4\) を分解するには問題9(4)の考えを用います。最初に紹介した解き方は、もとの式を \(2\) 次式とみなすところから始めました。あとで紹介している方法では、もとの式を \(3\) 次式とみなすところから始めています。ここで見たように、始めに低次の多項式とみなす方針の方がうまくいくことが多いかもしれません。

(7)
\begin{align}
a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2b^2c^2-2c^2a^2
&=a^4+(-2b^2-2c^2)a^2+b^4-2b^2c^2+c^4\\
&=a^4-2(b^2+c^2)a^2+(b^2-c^2)^2\\
&=a^4-2(b^2+c^2)a^2+(b+c)^2(b-c)^2\\
&=\{a^2-(b+c)^2\}\{a^2-(b-c)^2\}\\
&=\{a+(b+c)\}\{a-(b+c)\}\{a+(b-c)\}\{a-(b-c)\}\\
&\,\boldsymbol{=(a+b+c)(a-b-c)(a+b-c)(a-b+c)}
\end{align}

(8)
\begin{align}
(a^2-1)(b^2-1)-4ab
&=a^2b^2-a^2-b^2+1-4ab\\
&=(a^2b^2-2ab+1)-(a^2+2ab+b^2)\\
&=(ab-1)^2-(a+b)^2\\
&\,\boldsymbol{=(ab+a+b-1)(ab-a-b-1)}
\end{align}

(9)
\begin{align}
x(x+2)(x+4)-y(y+2)(y+4)+xy(x-y)
&=(x^3-y^3)+6(x^2-y^2)+8(x-y)+xy(x-y)\\
&=(x-y)\{(x^2+xy+y^2)+6(x+y)+8+xy\}\\
&=(x-y)\{(x^2+2xy+y^2)+6(x+y)+8\}\\
&=(x-y)\{(x+y)^2+6(x+y)+8\}\\
&\,\boldsymbol{=(x-y)(x+y+2)(x+y+4)}
\end{align}

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