みなさん、こんにちは。
今回は、次の問題を解いてゆきます。
この記事では、逆三角関数である \(\tan^{-1}\) を既知としています。
その他の例題は以下のリンクを参照してください。
答え
(1)
\begin{gather}
I_1(x)=\tan^{-1} x+C_1
\end{gather}
但し、\(C_1\) は積分定数とする。
(2)
\begin{align}
I_4(x)
&=\frac{5}{16}\tan^{-1} x+\frac{5}{16}\frac{x}{x^2+1}\\
&\quad+\frac{5}{24}\frac{x}{(x^2+1)^2}+\frac{1}{6}\frac{x}{(x^2+1)^3}+C_4
\end{align}
但し、\(C_4\) は積分定数とする。
解説
\(I_1(x)\) を求める。
まず、\(y=\tan^{-1} x\) とすると \(x=\tan y\) なので
\begin{align}
\frac{dx}{dy}=\frac{1}{\cos^2y}=\tan^2y+1
\end{align}
よって、\(\displaystyle \frac{1}{x^2+1}dx=dy\) であるので、\(C_1\) を積分定数とすると
\begin{align}
I_1(x)
&=\int \frac{1}{x^2+1}\,dx\\
&=\int \,dy\\
&=y+C_1\\
&=\tan^{-1} x+C_1
\end{align}となります。
\(I_n(x)\) の漸化式を求める。
少し工夫して部分積分を行います。
\begin{align}
\frac{1}{(x^2+1)^{n+1}}
&=\frac{(x^2+1)-x^2}{(x^2+1)^{n+1}}\\
&=\frac{1}{(x^2+1)^n}-\frac{x^2}{(x^2+1)^{n+1}}
\end{align}
であるので
\begin{align}
I_n(x)-I_{n+1}(x)
&=\int \left\{\frac{1}{(x^2+1)^n}-\frac{1}{(x^2+1)^{n+1}}\right\}\,dx\\
&=\int x\frac{x}{(x^2+1)^{n+1}}\,dx\\
&=x\frac{-1}{2n(x^2+1)^n}-\int\frac{-1}{2n(x^2+1)^n}\,dx\\
&=-\frac{x}{2n(x^2+1)^n}+\frac{1}{2n}I_{n}(x)
\end{align}
これを \(I_{n+1}(x)\) について解くことで
\begin{align}
I_{n+1}(x)
&=\frac{2n-1}{2n}I_{n}(x)+\frac{x}{2n(x^2+1)^n}
\end{align}
を得ます。
\(n=1\) とすると
\begin{align}
I_2(x)
&=\frac{1}{2}I_1(x)+\frac{1}{2}\frac{x}{x^2+1}\\
&=\frac{1}{2}\tan^{-1} x+\frac{1}{2}\frac{x}{x^2+1}+C_2
\end{align}
但し、\(C_2\) は積分定数とします。
\(n=2\) とすると
\begin{align}
I_3(x)
&=\frac{3}{4}I_2(x)+\frac{1}{4}\frac{x}{(x^2+1)^2}\\
&=\frac{3}{4}\left(\frac{1}{2}\tan^{-1} x+\frac{1}{2}\frac{x}{x^2+1}\right)+\frac{1}{4}\frac{x}{(x^2+1)^2}+C_3\\
&=\frac{3}{8}\tan^{-1} x+\frac{3}{8}\frac{x}{x^2+1}+\frac{1}{4}\frac{x}{(x^2+1)^2}+C_3
\end{align}
但し、\(C_3\) は積分定数とします。
\(n=3\) とすると
\begin{align}
I_4(x)
&=\frac{5}{6}I_3(x)+\frac{1}{6}\frac{x}{(x^2+1)^3}\\
&=\frac{5}{6}\left(\frac{3}{8}\tan^{-1} x+\frac{3}{8}\frac{x}{x^2+1}+\frac{1}{4}\frac{x}{(x^2+1)^2}\right)+\frac{1}{6}\frac{x}{(x^2+1)^3}+C_4\\
&=\frac{5}{16}\tan^{-1} x+\frac{5}{16}\frac{x}{x^2+1}+\frac{5}{24}\frac{x}{(x^2+1)^2}+\frac{1}{6}\frac{x}{(x^2+1)^3}+C_4
\end{align}
但し、\(C_4\) は積分定数とします。
最後に
今回は、不定積分 による関数の列 \(\{I_n(x)\}\) を考えました。
それを区間 \(\displaystyle \left[0,1\right]\) 上の 定積分 にすると、今回のように小さい \(n\) の値に関して積分値を求めてゆくことができます。
この数列
\begin{align}
I_n&=\int_0^1 \frac{1}{(x^2+1)^n}\,dx
\end{align}に関しては、以下の記事で扱っています。
関連 : 数学IIICカテゴリー
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