【∫ x^n√(x^2+1) dx】不定積分の漸化式 Part.5 逆双曲線関数

数学IIIC

みなさん、こんにちは。

今回は、次の問題を解いてゆきます。

問題

\(0\) 以上の整数 \(n\) に対して、次の不定積分

\begin{align}
I_n(x)&=\int x^n\sqrt{x^2+1}\,dx
\end{align}

を考える。但し、\(x^0=1\) とする。

(1)\(I_0(x)\) を求めよ。

(2)\(I_1(x)\) を求めよ。

(3)\(n\geq2\) に対して \(I_n(x)\) を \(I_{n-2}(x)\) で表すことで、\(I_2(x)\) と \(I_3(x)\) を求めよ。

その他の例題は以下のリンクを参照してください。

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答え

(1)

\begin{align}
I_0(x)&=\frac{1}{2}\biggl\{x\sqrt{x^2+1}+\log(x+\sqrt{x^2+1})\biggr\}+C_0
\end{align}

但し、\(C_0\) は積分定数とする。

(2)$$I_1(x)=\frac{1}{3}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C_1$$

但し、\(C_1\) は積分定数とする。

(3)

\begin{align}
I_2(x)
&=\frac{1}{8}\biggl\{x(2x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\log(x+\sqrt{x^2+1})\biggr\}+C_2\\
I_3(x)
&=\frac{1}{15}(3x^2-2)(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C_3
\end{align}

但し、\(C_2\) と \(C_3\) は積分定数とする。

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解説

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\(I_0(x)\) を求める。

まず、\(x^0=1\) と約束していたので

\begin{align}
I_0(x)
&=\int \sqrt{x^2+1}\,dx\\
&=\int \frac{x^2+1}{\sqrt{x^2+1}}\,dx\\
&=\int x\frac{x}{\sqrt{x^2+1}}\,dx+\int \frac{1}{\sqrt{x^2+1}}\,dx\\
&=x\sqrt{x^2+1}-\int \sqrt{x^2+1}\,dx+\log(x+\sqrt{x^2+1})\\[7pt]
&=x\sqrt{x^2+1}-I_0(x)+\log(x+\sqrt{x^2+1})
\end{align}

となります。

これを \(I_0(x)\) について解くと、\(C_0\) を積分定数とすれば

\begin{align}
I_0(x)&=\frac{1}{2}\biggl\{x\sqrt{x^2+1}+\log(x+\sqrt{x^2+1})\biggr\}+C_0
\end{align}

となります。

\(I_1(x)\) を求める。

\(C_1\) を積分定数とすると

\begin{align}
I_1(x)
&=\int x(x^2+1)^{\frac{1}{2}}\,dx\\
&=\frac{1}{3}(x^2+1)^{\frac{3}{2}}+C_1\\
&=\frac{1}{3}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C_1
\end{align}となります。

\(I_n(x)\) の漸化式を求める。

\(n\geq2\) であることを用いて部分積分を行います。

\begin{align}
I_n(x)
&=\int x^{n-1}x(x^2+1)^{\frac{1}{2}}\,dx\\
&=x^{n-1}\times\frac{1}{3}(x^2+1)^{\frac{3}{2}}-\int (n-1)x^{n-2}\times\frac{1}{3}(x^2+1)^{\frac{3}{2}}\,dx\\
&=\frac{1}{3}x^{n-1}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{1}{3}(n-1)\int (x^n+x^{n-2})\sqrt{x^2+1}\,dx\\
&=\frac{1}{3}x^{n-1}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{1}{3}(n-1)(I_n(x)+I_{n-2}(x))
\end{align}

これを \(I_n(x)\) について解くことで

\begin{align}
I_n(x)&=\frac{1}{n+2}x^{n-1}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{n-1}{n+2}I_{n-2}(x)
\end{align}

を得ます。

\(n=2\) とすると

漸化式を用いることで

\begin{align}
I_2(x)
&=\frac{1}{4}x(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{1}{4}I_0(x)
\end{align}

となります。\(I_{0}(x)\) は既に求めていたので、\(C_2\) を積分定数とすると

\begin{align}
I_2(x)
&=\frac{1}{4}x(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{1}{8}\left\{x\sqrt{x^2+1}+\log(x+\sqrt{x^2+1})\right\}+C_2\\
&=\frac{1}{8}\biggl\{x(2x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\log(x+\sqrt{x^2+1})\biggr\}+C_2
\end{align}

となります。

\(n=3\) とすると

漸化式を用いることで

\begin{align}
I_3(x)
&=\frac{1}{5}x^2(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{2}{5}I_1(x)
\end{align}

となります。\(I_{1}(x)\) は既に求めていたので、\(C_3\) を積分定数とすると

\begin{align}
I_3(x)
&=\frac{1}{5}x^2(x^2+1)\sqrt{x^2+1}-\frac{2}{15}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C_3\\
&=\frac{1}{15}(3x^2-2)(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C_3
\end{align}

となります。

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最後に

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今回は、不定積分 による関数の列 \(\{I_n(x)\}\) を考えました。

それを 定積分 にすると、区間に応じて数列 \(\{I_n\}\) を得られますね。

その区間の設定として例えば \(\displaystyle \left[0,1\right]\) を採用してみましょう。

この数列

\begin{align}
I_n&=\int_0^1 x^n\sqrt{x^2+1}\,dx
\end{align}に関しては、以下の記事で扱っています。

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